AGAの基礎知識:図解でわかりやすく解説

AGAの基礎知識:図解でわかりやすく解説
AGA(男性型脱毛症)

AGA(男性型脱毛症)は、男性であれば誰しもが直面する可能性がある脱毛症です。
このページでは、AGAについてのメカニズム、発症の原因、典型的な進行パターンを図解を交えて詳しく解説します。
また、治療方法や改善にかかる期間、費用についても明らかにし、AGAに関するあらゆる疑問にお答えします。
初めてAGAについて知る方だけでなく、すでに治療を検討している方も、ここでの情報を役立ててみてください。

AGAとは

AGA(男性型脱毛症)とは、18歳以降の男性にみられやすい進行性の脱毛症です。
特定の脱毛パターンに沿って髪密度が減っていき、徐々に地肌が透けるようになってきます。

AGAの病態(頭頂部・生え際・前頭部)

脱毛症には種類がいくつかありますが、毛髪や頭部、健康状態などに特に異常が認められない場合には発症が疑われます。
また、AGAによる薄毛は老化の1つとも考えられますが、最近では病気とする見方も強まってきています。

AGAに悩む人は多い

日本国内でAGAを発症している男性は、1,200万人以上と言われています。
男性であれば誰でもAGAを発症するリスクがあり、年齢が上がるにつれて髪の悩みを抱える人は増えてきます。
年代別にみたAGA発症割合は、以下のとおりです。

年代別:AGAの発症割合

20代:約10%
30代:20%
40代:30%
50代以降:約40数%

20代後半から30代前半にかけて薄毛が目立ってくる傾向があり、40代以降は少なくとも3人に1人はAGAに悩んでいることになります。

しかし、年齢が若いからという理由で、AGAにならないとは限りません。
「若年性AGA(脱毛症)」といって、10代で発症するケースも珍しくはないです。
外見に対する意識が特に高いこの時期に発症すると、大人よりも深刻な悩みに発展してしまうケースもあります。

AGAのサイン

髪は、1つの毛穴から生えては抜けてを繰り返しています。
しかしAGAを発症すると、生え変わるペースが早くなり、それに伴い髪にも変化が現れはじめます。
また、脱毛がはじまる箇所も決まっているので、これらを発症のサインと捉えることができます。
なんとなく髪のことが気になったら以下を参考にして、見るだけでなく、直接触ってチェックするのも1つです。

脱毛がはじまる位置

AGAは次のいずれか、または複数で発症のサインが出ています。

・頭頂部
・前頭部
・生え際

これら以外で、AGAによる薄毛がみられることはありません。
また日本人は、ご自身ではチェックしにくい頭頂部からAGAを発症しやすい傾向にあります。

抜け毛の増加

AGAになると、頭頂部・前頭部・生え際で1日に100本以上の抜け毛がみられます。
しかし、抜け毛を毎日1本ずつ数えるのは現実的ではなく、個人の感覚が強く反映されやすくもあります。
そのため、普段なら気にも留めなかった枕元や排水溝、ブラシ、フローリングなどで、明らかに落ちている髪の本数が多いときは発症の可能性が高いでしょう。
加えて、明らかに髪密度が減っている場合には、AGAの発症が強く疑われます。

髪の軟毛化

AGAは、髪を弱らせて軟毛化させます。
次第にハリ・コシが失われていき、やせ細り、さらに長く成長することも止めてしまいます。
うぶ毛のような髪質に変化してくるので、直接手で触ってみるとわかりやすいはずです。
また、髪質の変化に伴ってボリュームダウンもしてくるので、ヘアセットがしづらくなったり、寝ぐせも付きにくくなるなども髪の軟毛化をチェックする目安になります。

AGAの原因

AGAには、「体質(なりやすさ)」「発症の引き金」「抜け毛の助長」の3つの原因があると考えられています。
これらの原因が複雑に絡み合うことで、脱毛という好ましくない症状が頭部に現れてしまいます。
AGAの原因を知ることは治療や予防にも役立つので、ここから詳しく見ていきましょう。

遺伝

遺伝は、AGAのなりやすさに影響する原因の1つです。
具体的には、以下のことが遺伝から影響します。

酵素の活性度の強さ
酵素の1つである5αリダクターゼの働きが強いと、AGAの直接の原因になる男性ホルモンを過剰につくりやすい体質になります。

男性ホルモンレセプターの感受性の高さ
レセプター(受容体)は受け皿のようなものです。この受け皿が男性ホルモンを受け取る能力が高いと、原因となる男性ホルモンと結合して頭皮に脱毛因子を増やしやすくします。

「ハゲは遺伝する」と古くから言われてきていますが、あながち間違いではありません。
実際、AGA(Androgenetic Alopecia)のgeneticは「遺伝的」という意味です。
遺伝はまだわかっていないことも多い領域ですが、病名からもAGAが遺伝してしまう可能性は高いと考えられています。

男性ホルモン

頭皮に脱毛因子を増やす直接の原因になるのが、DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンです。
このDHTが頭皮に増えてくると脱毛シグナルが発せられ、ヘアサイクルが乱れることでAGAを発症・進行させてしまいます。

AGAの原因が頭皮に発生するしくみ

DHTは、成長期の男性の身体を男らしくするために必須のホルモンです。
しかし、思春期以降になると部位によっては悪さをすることがあり、AGAをはじめ、ニキビや前立腺の病気にも関わってきます。
このことから、DHTは「悪玉男性ホルモン」とレッテルを貼られることもあり、男性の悩みを増やす好ましくないホルモンとして扱われることがあります。

ヘアサイクルとAGA

ヘアサイクルとは、毛根1つひとつに備わった毛髪が生え変わる周期のことです。
頭皮にDHTが発生するとヘアサイクルが乱れ、髪がその影響を受けることで脱毛となって現れます。

正常なヘアサイクルとAGAのヘアサイクルの比較

AGAは髪が成長する期間を大幅に短くし、休止期(抜ける時期)にある髪の割合も増やしてしまいます。
これにより、髪は正常な生えると抜けるのバランスを保てなくなり、薄毛が進行してしまいます。

環境による原因

環境による原因とは、主に生活習慣や身の回りの環境のことを指します。
遺伝や男性ホルモンのようにAGAの直接の原因にはなりませんが、日々の積み重ねから抜け毛が増え薄毛が進む原因になってきます。

・加齢
・ストレス
・食事
・睡眠
・飲酒や喫煙
・紫外線 など

このように、身近なところに原因がいくつも潜んでおり、髪を弱らせてしまったり、頭皮環境の悪化を招いてしまうことがあります。
AGAの悪化を助けてしまうこともあるので、普段の当たり前が、実は薄毛を助長している可能性もあります。

AGAの脱毛進行パターン

AGAによる脱毛進行パターンは、上から頭部を見た時の脱毛の形にもとづいて、O字型(頭頂部)・M字型(生え際)・U字型(前頭部)の3つに分けられます。

AGAの脱毛パターン

AGAの進行レベルは7段階あり、時間の経過とともに、最終的にはそれぞれの脱毛部位がつながった混合タイプとなります。

薄毛の進行スピード

AGAは、約3~5年かけて1~2段階進行するのが一般的です。
非常にゆるやかなスピードで進行するものの、それゆえに発症した初期段階で気づくことが難しいとされます。
特に頭頂部ともなるとご自身で目にする機会は少ないことから、他人からの指摘や視線がAGAを意識するきっかけになることも珍しくありません。

AGAの進行はゆるやかですが、髪の成長期間が大幅に短くなり、通常よりも速くヘアサイクルが終了してしまいます。
ヘアサイクルには限りがあるので、寿命を迎えた毛根からは髪が生えてくることはありません
したがって、なんとなくでも髪のことが気になるなら、早めに医師に相談してみましょう。

AGAの治療方法

AGAは脱毛の進行レベルに応じて、適切な薬を選択するのが基本です。
治療は通常、内服薬によってAGAの原因に直接アプローチするのが一般的ですが、薄毛に対する悩みには個人差があります。
そのため、悩みの内容によっては、心理面も考慮した治療を選択することも大切です。
以下では、AGAの治療方法にはどんなものがあるのか、簡単に解説します。

薬物療法

AGAの薬物療法(プロペシア)
AGA治療の基本となる薬物療法では、内服薬と外用薬が用いられます。
脱毛の進行レベルに応じて、これらの薬を併用することもあります。

■予防薬(飲み薬)
・プロペシア(フィナステリド)
・ザガーロ(デュタステリド)

プロペシアやザガーロは、AGA治療においてほぼ必須の薬です。
これらの薬は、AGAの原因であるDHTが頭皮に発生するのを防ぎ、脱毛の進行を抑える予防効果が期待されます。

■発毛薬(飲み薬または塗り薬)
・ミノキシジル外用薬
・ミノキシジルタブレット

有効成分をミノキシジルとした発毛薬には、内服薬と外用薬の2種類があります。
脱毛が特に進行している場合、より高い発毛効果を持つミノキシジルタブレットが選択されることがあります。

AGA治療薬について|効果・副作用・選び方・注意点

注入治療

AGAの注入治療
注入療法、またはメソセラピーとも呼ばれるこの方法では、薄毛箇所にピンポイントで注射を行います。
これにより、毛包(髪をつくる器官)で不足した細胞を補い髪の成長を後押しします。

主な注入剤

・成長因子(グロースファクター)
・幹細胞培養上清液
・PRP(多血小板血漿) など

注入剤は髪の発毛機能に直接作用し、髪がより成長しやすい環境を整えることで薬物療法の効果を高めます。

頭皮色素療法

頭皮色素療法(ヘアラインアートメイクのBefore・After)
頭皮染色療法とは、外見の改善を目的とした治療方法です。
進行した脱毛部分に色素を注入し、髪が生えているようにみせることで頭皮の透け感を抑えます。

SMP(スカルプ・マイクロ・ピグメンテーション)
色素をドットで入れて毛根を再現する方法

ヘアラインアートメイク
髪を1本ずつ描いて、生え際などの後退を視覚的にカバーする方法

治療を受けたその日から薄毛をカバーできるので、即効性が期待できます。
また薬物療法によって薄毛が改善されるのを待つ間、見た目の悩みを解消したい人には特に推奨されます。

外科治療

AGAの外科治療(植毛)
外科治療である植毛は、薄毛を半永久的に改善する治療方法です。
この治療では、AGAの影響を受けない後頭部や側頭部から頭皮組織(ドナー)を採取し、薄毛の部分に移植します。
移植後に髪が生着すれば追加のメンテナンスは不要なので、根本的なAGAの改善が期待できます。

ただし、植毛を最初の治療として選んでしまうと、将来的に薬物療法で改善されるかもしれない頭皮組織を失うリスクがあります。
移植できる株数(グラフト数)には限りがあるので、他の治療方法で効果が得られなくなった場合に考慮するのが一般的です。

その他の治療方法

AGAのその他の治療方法
その他の治療方法には、以下があげられます。

・医療用かつら(ウィッグ)
・サプリメント
・ライフスタイルの改善 など

これらは主要なAGA治療と組み合わせることで、治療効果を高めたり、健康な髪の管理・維持や心理的な負担軽減に役立ちます。
副作用の心配が少なく、日常生活にも取り入れやすいため、個々の生活スタイルやニーズに合わせて適切に選ぶことが推奨されます。

AGAの治療を行う医療機関

AGAは、以下の医療機関にご相談ください。

・総合病院(皮膚科)
・専門のAGAクリニックや総合美容外科

どちらでも治療が可能ですが、総合病院についてはAGAの診療を行っていないこともあります。
また治療方法が限定的なケースもあるので、あらゆる選択肢から治療方法を検討したい場合には、AGA専門のクリニックや美容外科に相談すると良いでしょう。

AGAの治療にかかる費用

AGA治療にかかる費用は、選択する治療方法によって大きく異なります。

薬物療法 月約2千円~1万円
注入療法 1回あたり30,000円~100,000円
外科治療(植毛) 数十万~数百万(グラフト数による)
頭皮色素療法 100,000円前後
その他(サプリやかつら) 数千円~数十万円

これらの費用はあくまでも相場であり、AGA治療は保険適用外のため全額自己負担となります。
クリニックによって治療費用は異なるので、AGA治療を検討する際は、ご自身の予算に適したクリニックを慎重に選ぶようにしてください。

AGAの治療期間

AGAの改善には、抜ける時期にある髪が生え変わるまでの時間を考慮する必要があります。
そのため、通常は6ヵ月以上の治療期間を目安としています。
また、毛根はそれぞれ異なるヘアサイクルを持っているので、すべての毛穴から髪が同じペースで生えるわけではありません。
したがって、髪の生えるメカニズムを考慮に入れると、最低でも1年の治療期間をみておくのが望ましいです。

まとめ:AGAの理解と対策

AGA(男性型脱毛症)は、男性であれば一般的に見られる進行性の脱毛症です。
以下にここまでの内容を簡単にまとめたので、必要に応じて薄毛の悩みは医療機関にご相談ください。

・遺伝や男性ホルモンが原因
・頭頂部・生え際・前頭部のいずれか複数で進行する
・基本的な治療は薬物療法
・AGAは保険適用外なので全額自己負担
・治療効果を実感するまでには最低でも6ヵ月から1年

AGAは年齢が増すにつれて発症頻度が高まりますが、10代を含む全年齢を平均しても3人に1人の割合で発症します。
非常に身近な脱毛症として男性を悩ませますが、医学的根拠に基づいた治療方法がいくつも存在します。
AGAは治せる時代に突入しているので、薄毛の悩みは専門のクリニックにご相談ください。

AGAについてのよくある質問

AGAは何科に相談すればいいですか?

AGAは頭皮に現れるので、一般的な病院であれば皮膚科にご相談ください。
しかし、AGAの診療を行っていないところも多いです。
手間を考えると、AGA専門のクリニックや総合美容外科などに相談するとスムーズに診断・治療が受けられます。

AGAが完治した例はありますか?

AGAは治療によって髪を取り戻すことはできますが、完治した例はありません。
治療をやめてしまうと、ふたたび脱毛の進行がはじまるため、いつまで治療を続けるかゴールを決めると継続しやすくなります。

AGAになるリスクが高い人の特徴は?

AGAになるリスクが高い人の傾向としては、以下のようなことがあげられます。

・薄毛の人が家族内にいる
・食生活が乱れている
・睡眠不足が続いている
・飲酒と喫煙の量が多い
・頭皮環境の乱れ

基本的にAGAは遺伝または男性ホルモンが大きな原因となりますが、環境などの外部の要因が進行を助長するケースもあるので注意が必要です。

AGAはどこからハゲてきますか?

AGAは、頭頂部・生え際・前頭部のいずれか、または複数で脱毛の進行がみられます。
これ以外の部分では発症しないので、後頭部や側頭部に脱毛がみられるようであれば、他の脱毛症が疑われます。

AGAは日常的なケアだけで改善しますか?

AGAは遺伝だけでなく、頭皮にDHTという男性ホルモンが増えることが原因です。
日常的なケアで取り除く術はないため、日常的なケアではなく、医療機関にご相談ください。

記事の作成者表参道メディカルクリニック編集部
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