アクアチム(ナジフロキサシン)でニキビは治る?効果・使い方・注意点を解説

アクアチム(ナジフロキサシン)はニキビ治療に用いられる代表的な外用薬の一つです。
しかし、すべてのニキビに効く万能薬ではありません。
アクネ菌などの増殖を抑える抗菌作用があることから、主に赤ニキビや黄ニキビといった炎症を伴うニキビの治療に用いられます。
この記事では、アクアチムの効果をはじめ、軟膏・クリーム・ローションの違いや正しい使い方、副作用、使用時の注意点まで詳しく解説します。
アクアチムについて気になることがある方は、正しく使用するための手引きとしてお役立てください。
目次
アクアチムとは?
アクアチムは、大塚製薬が製造・販売するキノロン系の外用抗菌薬(抗生物質)です。殺菌的な抗菌力を持ち、主に炎症を伴うニキビ(尋常性ざ瘡)や細菌による皮膚感染症の治療に使用されます。
アクアチムは医療用医薬品であるため市販されておらず、使用には医師の診断・処方が必要です。
市販で購入できるニキビ治療薬や医療用医薬品との違いについて知りたい方は、ニキビの薬にはどんな種類がある?市販薬・処方薬の違いや使い分けを解説
も併せてご確認ください。
有効成分「ナジフロキサシン」|主な働き

アクアチムの有効成分は、キノロン系の抗菌成分「ナジフロキサシン(1%)」です。ナジフロキサシンには、細菌が増えるために必要なDNAの複製を妨げ、ニキビ・毛包炎・とびひなどの皮膚疾患の原因となる細菌を死滅させる働きがあります。
なお、効果のある菌の種類は以下の通りです。
- アクネ菌
- ナジフロキサシンに対して感性のあるブドウ球菌属(表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌など)
真菌(カビ)には適応がないため、ニキビに似た皮膚疾患であるマラセチア毛包炎や脂漏性皮膚炎への効果は期待できません。
また、アクアチムには同じ有効成分・配合量で作られた後発品(ジェネリック)があり、「ナジフロキサシンクリーム1%」や「ナジフロキサシンローション1%」という名称で販売されています。
他の外用抗菌薬との比較
アクアチムと同じくニキビに適応がある外用抗菌薬には、ダラシンTゲル(有効成分:クリンダマイシン)やゼビアックスローション(有効成分:オゼノキサシン)などがあります。
なかでもアクアチムは、クリーム剤が1993年に発売されて以来、長年ニキビ治療に用いられてきた歴史のある薬です。
| 比較項目 | アクアチム | ダラシンT | ゼビアックス |
|---|---|---|---|
| 分類 | キノロン系 | リンコマイシン系 | キノロン系 |
| 有効成分 | ナジフロキサシン | クリンダマイシンリン酸エステル | オゼノキサシン |
| 作用メカニズム | DNAの複製を妨げ、細菌を死滅させる(殺菌的) | タンパク質の合成を妨げ、細菌の増殖を抑える(静菌的) | DNAの複製を妨げ、細菌を死滅させる(殺菌的) |
| 主な剤形 | クリーム・軟膏・ローション | ゲル・ローション | ローション・油性クリーム |
| 販売開始 | 1993年(クリーム) | 2002年(ゲル) | 2016年(ローション) |
| ニキビへの使用回数 | 1日2回 | 1日2回 | 1日1回 |
日本皮膚科学会のガイドラインでは、いずれも炎症性ニキビに対する外用抗菌薬として強く推奨されており、どれが優れているという明確な優劣はありません。
肌との相性や原因菌の薬に対する感受性(効きやすさ)によって効果の感じ方は異なるため、ニキビの状態や治療経過に合わせて、自分に適した薬を使用することが大切です。
アクアチム軟膏・クリーム・ローションの違い

アクアチムには、軟膏・クリーム・ローションの3種類があります。有効成分はいずれもナジフロキサシンですが、剤形によって適応症が異なります。
| 種類 | 軟膏 | クリーム | ローション |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 油分が多く、皮膚を保護しながら患部にとどまりやすい | 伸びがよく、軟膏よりもべたつきが少ないため顔などにも塗りやすい | さらっとして伸びがよく、背中などの広い範囲や毛のある部位にも塗りやすい |
| ニキビ(尋常性ざ瘡)への適応 | なし | あり | あり |
| 適応症一覧 | ・表在性皮膚感染症 ・深在性皮膚感染症 |
・表在性皮膚感染症 ・深在性皮膚感染症 ・ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの) |
・ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの) |
| 後発品(ジェネリック)の有無 | なし | あり | あり |
ニキビへの適応があるのはクリームとローションの2つで、軟膏は原則として皮膚感染症のみに使用されます。なお、アクアチムローション1%は販売中止が決定しており、2027年3月に出荷停止となる予定です。
ただし、ナジフロキサシンを配合したローション剤自体がなくなるわけではなく、後発品(ジェネリック)は引き続き使用できます。
アクアチムはどんなニキビに効果が期待できる?

アクアチムによる治療効果を期待できるのは、赤ニキビや黄ニキビなどの炎症を伴うニキビです。一方、白ニキビや黒ニキビのように毛穴の詰まりが中心のニキビには、基本的に効果はありません。
ニキビの状態によって適した治療薬は異なるため、自分のニキビがどの段階にあるのかを確認したうえで治療することが大切です。
アクアチムが向いているニキビ
アクアチムが適しているのは、赤みや腫れを伴う赤ニキビや、膿がたまった黄ニキビなどの炎症性ニキビです。炎症性ニキビにはアクネ菌などの増殖が関わっており、アクアチムは原因となる細菌を殺菌することで症状の改善に働きかけます。
アクアチムでは改善が期待しにくいニキビ
アクアチムには毛穴の詰まりを改善する作用がないため、原則として白ニキビや黒ニキビなどの非炎症性ニキビへの効果は期待できません。
こうしたニキビには、ディフェリンやベピオなど、毛穴の詰まりに働きかける薬(面皰治療薬)が使用されます。
アクアチムがニキビに効く仕組み

ニキビは毛穴に皮脂や角質が詰まり、そこにアクネ菌などが増殖することで症状が進行していく皮膚疾患です。そのため、ニキビ治療では「毛穴の詰まり」「皮脂」「細菌」「炎症」など、それぞれの原因に合わせたアプローチが行われます。
現時点(2026年8月)でアクアチムの作用として正式に認められているのは、アクネ菌などの細菌を殺菌する「抗菌作用」のみですが、動物の細胞などを用いた実験では、以下のような作用をもつ可能性が示されています。
- 抗炎症作用
- 炎症を抑える効果
- 抗脂質生成作用
- 皮脂のもととなる脂質の生成を抑える効果
※これらは人での効果として確認されたものではないため、あくまで研究段階の情報としてご参考ください。
アクネ菌などの細菌を殺菌する|抗菌作用
アクアチムの有効成分「ナジフロキサシン」は、細菌がDNAを複製するときに必要な「DNAジャイレース」という酵素の働きを妨げることで、アクネ菌やブドウ球菌などを殺菌します。
実際に、炎症性ニキビの患者を対象とした試験では、アクアチムの使用によって毛穴の中にいる細菌やアクネ菌の量が減少したことが確認されており、抗菌作用に関しては正式な薬効としても認められています。
炎症に関わる物質の生成を抑える|抗炎症作用
動物の細胞などを用いた実験では、ナジフロキサシンが炎症に関わる「プロスタグランジンE2(PGE2)」の生成を抑えることが確認されており、抗菌作用とは別の方向から炎症を抑える効果を持つ可能性が示されています。
さらに、皮膚組織を破壊する「proMMP-2」という酵素の生成を抑えたとの報告もあり、クレーターや凹凸などのニキビ跡のリスクを減らす可能性にも期待が寄せられています。
皮脂のもととなる脂質の生成を抑える|抗脂質生成作用
動物の皮脂腺細胞などを用いた実験では、ナジフロキサシンが皮脂の主成分である「トリグリセリド(中性脂肪)」の生成を抑えることが確認されています。
このことから、ナジフロキサシンには細菌への抗菌作用だけでなく、毛穴詰まりの原因となる皮脂の生成にも働きかける可能性が示唆されています。
ニキビに対するアクアチムの正しい使い方
アクアチムは、ニキビができやすい範囲へ広く塗るのではなく、赤ニキビや黄ニキビなど炎症を起こしている部分のみに使用するのが基本です。
正しく使用するために、塗るタイミングや量、スキンケア・ほかのニキビ治療薬と併用する場合のポイントを確認しておきましょう。
塗るタイミング・使用頻度
アクアチムをニキビに使用する場合は、通常1日2回、洗顔後に塗布します。朝・夜など、毎日のスキンケアに合わせると使用するタイミングを決めやすいでしょう。
なお、医師から使用回数やタイミングについて指示を受けている場合は、そちらを優先してください。
塗る量・塗る範囲
アクアチムは赤ニキビや黄ニキビなど、炎症を起こしている部分に適量を塗布するのが基本です。使用量を増やしても効果が高まるものではなく、かえって副作用が出やすくなる場合もあるため、必要以上に塗るのは避けましょう。
また原則として、ディフェリンやベピオなどのように広範囲に塗り広げることは推奨されていないため、これらの薬と併用している場合は塗る量や範囲を間違えないよう注意が必要です。
スキンケアや他の塗り薬との併用方法

アクアチムをスキンケアや他のニキビ治療薬と併用する場合は、基本的に「洗顔→スキンケア→ニキビ治療薬」の順番で使用します。
一般的な使用順序は以下のとおりです。
- 洗顔
- 化粧水・保湿剤
- ディフェリンやベピオなどの面皰治療薬
- アクアチム
ただし、肌の状態や使用しているスキンケア製品のテクスチャー、併用する薬の種類によっては、塗る順番が前後することもあります。複数の薬を処方されている場合は、医師や薬剤師からの指示に従うようにしましょう。
アクアチムの副作用と対処法
アクアチムはディフェリンやベピオといった面皰治療薬と比べ、目立った副作用は少ない薬です。しかし、医薬品である以上、副作用が起こる可能性がないとは言えません。
使用中に異変があったときに適切に対応できるよう、あらかじめ主な副作用と症状が現れた場合の対処法を確認しておきましょう。
主な副作用
アクアチムでは、主に次のような副作用が報告されています。
- かゆみ
- 刺激感
- 赤み
- 乾燥
- つっぱり感
- ほてり
- 接触皮膚炎(かぶれ)
これらの副作用は薬を塗った部分に直接現れることが多く、症状の程度には個人差があります。
副作用が出たときの対処法
副作用の症状が軽い場合は、自己判断で使用を中止しないようにしましょう。軽い副作用のたびに使用を中止すると十分な治療効果を得られない可能性があります。
乾燥やかゆみなどの症状は保湿剤との併用でやわらぐこともあるため、続けるか迷ったときは医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
一方、全身に広がる発疹や息苦しさ、顔・唇の腫れなど、重いアレルギー反応が疑われる場合は、すぐに使用を中止して速やかに医療機関を受診してください。
アクアチムを使用するときの注意点

アクアチムは、正しく使用することでニキビ治療に役立つ薬ですが、使用するうえでいくつか注意すべき点があります。
ここでは、アクアチムの使用を開始する前に知っておきたい注意点を紹介します。
使用期間と耐性菌リスクについて
抗菌薬であるアクアチムは、症状が改善したあとも漫然と使い続ける薬ではありません。必要以上に長く使うと、薬が効きにくい「耐性菌」が生じる可能性があるためです。
こうした理由から、アクアチムは炎症がなくなった時点など、医師に指示された「治療上必要な最小限の期間」で使用を終了するのが基本とされています。
耐性菌を生まないためにも、症状がよくなったあとも予防目的で塗り続けることは避け、医師から指示された期間を守るようにしましょう。
妊娠中・授乳中の使用について
妊娠中でもアクアチムを使用するケースはありますが、治療上のメリットがリスクを上回ると判断された場合に限られます。
そのため、自己判断で使い続けることは避け、妊娠が分かった時点で必ず医師へ相談するようにしましょう。
また授乳中の方に関しては、外用薬であることから母乳への影響は限定的と考えられるものの、安全性や危険性に関する十分なデータはありません。
医師によって見解が異なるため、授乳中であることを主治医に伝えたうえで使用の可否を判断してもらいましょう。
保管方法と使用上の注意について
アクアチムを保管・使用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 室温で保管し、別の容器に移し替える場合は遮光する
- 皮膚にのみ使用し、目などに入らないよう注意する
- 以前処方された残りを自己判断で再使用しない
特に、自己判断での再使用には注意が必要です。
以前と似た症状が出た場合でも、原因や肌の状態が同じとは限りません。
原因菌が異なる場合はアクアチムの使用により悪化するケースもあるため、症状が再発した場合は自己判断せず、医療機関を受診しましょう。
アクアチムで効果がない時の受診目安
ニキビにアクアチムを使用しても改善がみられない場合は、4週間を目安に処方元へ相談しましょう。臨床試験でも4週間の使用で有効性が評価されており、添付文書では4週間使用しても効果がみられない場合は中止するよう記載されています。
なお、毛包炎などニキビ以外の皮膚感染症では、1週間使用しても効果がみられない場合が治療を見直す目安です。
一定期間使用しても改善しない場合は、原因菌にアクアチムが効きにくい可能性や、別の原因で症状が起きている可能性があるため、そのまま使い続けず、医師に症状を確認してもらいましょう。
アクアチムでニキビが改善しない場合の治療法

アクアチムでニキビが改善しない場合は、そのまま使い続けるのではなく、ニキビの状態に合った治療へ切り替えることも検討します。
具体的には、薬の変更や他の薬との併用、自由診療などが選択肢として挙げられます。
この章では、それぞれの選択肢について詳しく見ていきましょう。
薬の変更
アクアチムを使用してもニキビの改善がみられない場合は、別の薬への変更が検討されます。外用抗菌薬であるゼビアックスやダラシンTのほか、抗菌薬と過酸化ベンゾイルを配合したデュアックなどに切り替えるのが一般的です。
また、アクアチムの使用により症状の悪化がみられた場合、マラセチア毛包炎など別の皮膚疾患の可能性も考えられます。
診断を見直した結果、真菌の関与が疑われる場合には、抗真菌薬による治療が検討されることもあります。
他の薬との併用
アクアチムだけで十分な改善がみられない場合、ニキビの状態に合わせて他の薬を併用することがあります。
例えば、白ニキビや黒ニキビなどの毛穴詰まりがある場合には、ディフェリンやベピオなどの面皰治療薬、炎症が強いときは、ミノマイシンなどの内服抗菌薬を追加することもあるでしょう。
また、症状や体質によっては、漢方薬が選択肢となる場合もあります。
自由診療の検討
保険診療での治療を続けても改善が難しい場合や、ニキビを繰り返してしまう場合は、自由診療を検討することも一つの選択肢です。
自由診療では、主に以下のような治療が行われています。
- イソトレチノインの処方
- 低用量ピルの処方
- ケミカルピーリング
- IPL(光治療)
保険診療とは選択できる治療法が異なるため、より幅広い選択肢の中から治療方法を検討できるのが魅力です。
当院でのニキビ治療
ニキビの治療は、種類や重症度、これまでの経過によって適した方法が異なります。当院では、こうした点を丁寧に確認したうえで、お一人おひとりに合わせた治療プランをご提案しています。
自由診療ならではの選択肢もございますので、保険診療だけではなかなか改善しないニキビにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
ここまでの内容を振り返り、大切な内容を以下にまとめました。
- アクアチムは「ナジフロキサシン」を有効成分とする外用抗菌薬
- 主に赤ニキビや黄ニキビなどの炎症性ニキビに使用される
- ニキビへの適応があるのはクリームとローションのみで、軟膏は皮膚感染症に使用される
- ニキビには通常1日2回、洗顔後に炎症を起こしている部分に塗布する
- 耐性菌が生じる可能性があるため、必要以上に長く使用しない
- 4週間使用してもニキビの改善がみられない場合は、治療方法の見直しが必要
- アクアチムでニキビが改善しない場合は、薬の変更や併用、自由診療などが検討されることもある
アクアチムは、ニキビの種類や状態に合わせて正しく使用することが大切です。自己判断で使用方法や期間を変えず、副作用が気になる場合や改善がみられない場合は医師に相談しながら治療を進めましょう。
よくある質問
アクアチムはニキビにどのくらいで効果が出ますか?
アクアチムの効果が現れるまでの期間には個人差があります。添付文書では、ニキビに4週間使用しても効果がみられない場合は使用を中止するとされています。
4週間を待たずに炎症がなくなった場合も、それ以上使い続ける必要はありません。改善がみられない場合は自己判断で使用を続けず、処方元へ相談しましょう。
アクアチム軟膏をニキビに塗ってもよいですか?
アクアチム軟膏は、ニキビへの適応がありません。ニキビへの適応が認められているのは、アクアチムクリームとアクアチムローションです。
ただし、主治医の判断によりニキビに対してアクアチム軟膏が処方された場合は、その指示にしたがってください。
【参考】
「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」『日本皮膚科学会ガイドライン』
「アクアチム」『大塚製薬』
「医療用医薬品 : アクアチム(ナジフロキサシンクリーム)」『KEGG MEDICUS』
「医療用医薬品 : アクアチム(ナジフロキサシンローション)」『KEGG MEDICUS』
「医療用医薬品 : アクアチム(ナジフロキサシン軟膏)」『KEGG MEDICUS』
Sato T, et al.「ナジフロキサシンおよびクリンダマイシンの皮脂・PGE2・proMMP-2産生抑制に関する研究(原題:Novel anti-acne actions of nadifloxacin and clindamycin…)」『The Journal of Dermatology』







