2021年2月5日から発売されているリベルサスは、GLP-1受容体作動薬の中で世界初の経口タイプ（飲み薬）として大きな注目を集めています。
これまでのGLP-1受容体作動薬は注射薬が主流でしたが、リベルサスの登場により治療の選択肢を広げています。

リベルサスは、インスリンの分泌低下や抵抗性が問題となる2型糖尿病の治療に用いるのが一般的です。
しかし、体重減少の効果があることがわかっているので、この効果を期待してGLP-1ダイエットにも応用されています。
このページでは、特徴や効果、副作用、注意点などといった、リベルサスの基本情報について詳しく解説していきます。

リベルサス（一般名：セマグルチド）とは

リベルサスとは、体内に自然に存在するGLP-1というホルモンに似た作用を持つGLP-1受容体作動薬です。
GLP-1は血糖値の調整に関わるホルモンで、リベルサスによってGLP-1（セマグルチド）を補うことで血糖コントロールをサポートします。

またGLP-1には、脳や胃、小腸などにも作用することで体重減少が認められています。
このため2型糖尿病の治療だけでなく、GLP-1ダイエットにおいてダイエット薬として処方されることがあります。

有効成分	セマグルチド（遺伝子組み換え）
用量	3mg・7mg・14mg
効果効能	2型糖尿病 / 肥満症（適応外処方）
副作用	胃腸障害（吐き気や下痢など）

リベルサスは医療用医薬品として分類され、2型糖尿病や肥満症の治療に用いる際は医師の処方が必要です。
そのため服用を検討している場合、処方している医療機関やクリニックに相談するようにしてください。

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リベルサスの特徴

リベルサスの特徴は、その使いやすさにあります。
GLP-1受容体作動薬としては唯一の飲み薬になるので、自己注射に対する不安や痛み、出血が気になるといったデメリットが解消されています。

これは有効成分であるセマグルチドにくわえ、吸収促進剤であるSNAC（サルカプロザートナトリウム）300mgの配合により実現されています。
この成分が胃の酵素によってセマグルチドが分解されてしまうのを防ぎ、その結果、経口投与でも効率的な吸収が可能です。

リベルサスの効果

リベルサスに期待される効果は、治療目的により異なります。
「GLP-1ダイエット」と「2型糖尿病」のそれぞれの効果について詳しく見ていきましょう。

GLP-1ダイエットでの効果

リベルサスは、すい臓以外への作用（膵外作用）によって体重減少効果が認められています。

これらの効果により、服用を続けているだけで自然と食事制限に近い効果が得られます。
「食べすぎを抑えて摂取カロリーを減らす」というシンプルな効果から、GLP-1ダイエットにおいてリベルサスは人気となっています。

詳しいリベルサスのダイエット効果については、以下のページでも解説しているのでご参考ください。

リベルサスのダイエット効果｜体重変化と実感のタイミングなどを解説

2型糖尿病での効果

2型糖尿病は、すい臓からインスリンが出にくい、あるいはインスリンの働きが不足することで、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。
高血糖状態が続いてしまうと、網膜や腎臓、神経、血管などの合併症のリスクを高めます。
そのため、糖尿病治療の基本である食事療法や運動療法でも血糖値が十分に改善されない場合に、リベルサスが処方されることがあります。

リベルサスには、血糖値が高くなるタイミングでその値を下げる効果があります。
血糖依存的に作用するため、食後だけでなく、空腹時でも血糖値が高ければ、すい臓に作用して2つのホルモンの分泌をコントロールします。

これら作用により血糖値の数値を安定させて、糖尿病による合併症の予防や健康な人と変わらない生活を送れるようサポートします。

なお、2型糖尿病でリベルサスを服用する際には、血糖や尿糖の定期的な検査が必要です。
検査数値から効果を確認し、3〜4ヵ月間服用しても効果が不十分な場合には他の糖尿病治療薬への切り替えが検討されます。

リベルサスの副作用

リベルサスは効果がある一方で、いくつかの副作用が報告されています。
頻繁に起こるわけではありませんが、以下のようなタイミングで副作用が現れやすい傾向にあります。

またリベルサスは、血中の薬物濃度が半減するまでの時間（消失半減期）が約1週間あります。
服用中止した後もしばらくは薬の作用が持続するので、血糖値の変動や副作用には十分に注意してください。
ここからは、「一般的な副作用」と「重い副作用」に分けて詳しく解説していきます。

リベルサスの副作用｜吐き気や下痢などの発現率や対処法、注意点などを解説

一般的な副作用

リベルサスの一般的な副作用として比較的起こりやすいのが、胃腸障害です。

こうした症状は、GLP-1が持つ作用の1つである「胃内容排出の遅延および消化管運動の低下」によって引き起こされていると考えられています。
特に吐き気や下痢は起きやすいとされていますが一時的な症状となり、服用を続けていくと次第に症状は軽快していくので大きな心配はありません。

重い副作用

稀ではありますが、リベルサスの服用中に下記のような症状が現れた場合、重い副作用が現れる可能性があります。

以上の初期症状はすべてではありません。
他にも気になる症状があれば、医師に相談するようにしてください。

リベルサスの服用方法

リベルサスの服用方法は、以下のとおりになります。

用量については低用量の3mgからスタートし、4週間以上が経過した段階で医師の判断により増量（用量漸増法）となります。
低用量からはじめるのは、副作用である胃腸障害を抑えるためです。

また、リベルサスの飲み方は一般的な薬と異なり特殊です。

こうした服用上のルールがいくつかあり、一般的な薬のように服用してしまうと十分な効果が得られない可能性があるので注意です。

リベルサスの飲み方｜痩せるための正しい服用方法をご紹介

リベルサスを使用する上での注意点

リベルサスを安全に服用するためには、いくつかの重要な注意点を理解し守らなければなりません。
注意点には特定の健康状態や他の薬との飲み合わせなどが含まれ、リベルサスが服用できないことや、服用中に特別な注意が必要になることも。
リベルサスの注意点を詳しく解説していくので、以下を参考にして健康状態や現在使用している薬に関して医師に相談してください。

服用できない人

リベルサスには禁忌（服用できない人）が指定されており、健康状態や体質によっては服用が適さない場合があります。

さらにGLP-1ダイエットとしてリベルサスを用いる場合、未成年者やBMI18.5未満の低体重（やせ）に当てはまる場合は服用ができません。
また、他のGLP-1受容体作動薬（注射薬）との併用も不可です。

リベルサスの処方にあたっては、健康状態や病気の既往歴、また治療目的によっても服用できるかが変わることがあります。
診察時にこれらの内容は詳しく確認されますが、不安や疑問があれば医師に積極的に相談するようにしてください。

併用に注意が必要な薬

リベルサスを服用するにあたって、一部の薬との併用には注意が必要です。
飲み合わせが悪いことで血糖降下作用が増強させてしまったり、その他の治療に影響が生じる可能性があります。

リベルサスの服用を開始する前、または服用中に上記の薬を使用する場合には、医師との相談が必要です。
特に「インスリン製剤」と「スルホニルウレア剤」については、併用により低血糖のリスクが増加するおそれがあるのでご注意ください。

リベルサスの費用

リベルサスの費用は、治療目的によって異なります。

2型糖尿病 （1錠あたり）	3mg:139.6円/7mg:325.7円/14mg:488.5円
GLP-1ダイエット （30日あたり）	3mg:1.5万円前後/7mg:2.5万円前後/14mg:3.5万円前後

2型糖尿病の治療でリベルサスを使用する場合、健康保険が適用になります。
ちなみに登場したばかりの薬になるので、治療費を抑えられるジェネリック医薬品（後発薬）は発売されていません。
一方、GLP-1ダイエットについては保険適用外となり、自由診療のためクリニックごとで処方価格も異なります。

どちらの場合も、診察料やその他の医療費が別途発生することがあるため、費用について医師やクリニックに事前に確認することをおすすめします。

リベルサスについてのまとめ

最後にリベルサスがどんな薬か、まとめをお伝えしていきます。

リベルサスは、2型糖尿病やダイエットのサポートの両方に役立つ薬です。
ただし、治療目的によって注意点が異なるので、医師と相談の上で治療計画に沿った使用が求められます。
特にダイエット薬として用いる場合、安全かつ効果的な治療のためにも医師に指示された用法用量に沿って服用を行ってください。

よくある質問

Q:リベルサスは糖尿病の薬ですか？

リベルサスは、2型糖尿病の薬です。
糖尿病治療の基本である食事療法や運動療法でも血糖値が改善されない場合、リベルサスの処方が検討されます。
また血糖値を下げる以外にも、「食欲抑制」と「胃内容物」の排出遅延の2つの作用が認められてます。
そのため摂取カロリーを抑えるために、ダイエット薬として応用することもあります。

Q:ダイエット目的でのリベルサスの服用は安全ですか？

医師の下でリベルサスを使用するのであれば、比較的安全に減量効果が得られます。
ただし、効果がある以上、副作用もあります。
人によっては吐き気や下痢といった胃腸症状が現れるため、デメリットにあたる副作用について理解した上で使用を検討してください。

Q:リベルサスは保険適用になりますか？

リベルサスが保険適用になるのは、2型糖尿病の治療のみです。
ダイエット薬として処方しているのは自由診療のクリニックのみなので、治療目的により処方価格は大きく異なるのでご注意ください。

Q:リベルサスは何キロ痩せますか？

体重の変化は体質や食習慣にも左右されますが、1ヵ月で1〜3キロの減量効果が見込めます。
薬を用いるからといって、極端に体重が落ちることはありません。
また「高用量＝急激に痩せる」ではなく、低血糖など重い副作用を起こすリスクにもつながるので、医師の指示に従った服用を心がけてください。

Q:リベルサスを使って痩せないことはありますか？

リベルサスを使っても痩せないことがあります。
飲むだけで痩せることはなく、摂取カロリーが治療前と変わらず高ければ体重減少は見込めません。
治療は標準的な食事量に戻す目的もかねているので、積極的に食生活を見直してみてください。