リベルサスの副作用|吐き気や下痢などの発現率や対処法、注意点などを解説
2型糖尿病治療薬であるリベルサスをGLP-1ダイエットとして用いる場合、副作用が気になる人も少なくないはずです。
このページでは、リベルサスの副作用発現率や対処法、注意点などを詳しく解説しています。
ダイエット目的で取り入れたい場合、効果というメリットだけでなく、デメリットである副作用も考慮しつつ治療を検討してみてください。
リベルサスについて
リベルサスは2型糖尿病の治療に加え、ダイエット薬としても使用されるGLP-1受容体作動薬です。
この薬は、GLP-1に似たホルモンを体外から補うことで血糖値を下げるほか、食欲抑制や胃の運動を抑制する作用により体重減少も期待できる薬となっています。
その結果、食事制限に近い効果が得られ、食事量のコントロールを自然にサポートすることでストレスフリーなダイエットが可能になります。
リベルサスの一般的な副作用
リベルサスの服用中には、以下のような副作用を伴うことがあります。
これらは軽度から中等度の一時的な症状となり、身体が薬に慣れてくることで自然に治まることがほとんどです。
ただし、副作用の程度や有無には個人差があり、持続することや症状を強く感じてしまうケースもあります。
なので、いつもと違うと感じたり、他にも気になる症状などがあれば、その都度医師に相談するようにしてください。
部位/発生頻度 | 5%以上 | 1%~5%未満 | 0.5%~1%以上 | 頻度不明 |
---|---|---|---|---|
免疫系障害 | 過敏症 (発疹、じん麻疹など) |
|||
代謝及び 栄養障害 |
食欲減退 | |||
神経系障害 | 頭痛 | 浮動性めまい、 味覚異常 |
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眼障害 | 糖尿病網膜症 | |||
心臓障害 | 心拍数増加※注1 | |||
胃腸障害 | 吐き気(悪心)、下痢 | 便秘、嘔吐、腹部の不快感、腹痛、消化不良、上腹部痛、腹部鼓満、胃食道逆流性疾患 | 鼓腸、胃炎、おくび | 胃排出遅延 |
肝胆道系障害 | 胆石症 | |||
全身障害および 投与部位状態 |
疲労、無力感 | |||
臨床検査※注2 | リパーゼ増加 | 体重減少、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、アミラーゼ増加 |
※注1心拍数の増加が続くようであれば、医師への相談が必要になります。
※注2数値の変動に関連した症状は認められていません。
これらの副作用の中で起こりやすいのが、胃腸障害です。
特に「吐き気」や「下痢」が起こりやすい傾向にあるので、その原因や現れやすいタイミングについて解説していきます。
吐き気や下痢が起こる原因
副作用として吐き気や下痢が起こってしまうのは、リベルサスの以下の作用が原因と考えられます。
消化吸収に変化が起こることで吐き気を伴う
腸内環境の変化
すい臓からの消化酵素の分泌が減り、腸内環境が変化することで下痢を起こす
食事内容の変化
食欲抑制による食事内容が変化することで下痢を起こす
吐き気や下痢は好ましい症状ではありませんが、リベルサスが身体に作用しているサインとも言えます。
ただし、症状が重く、日常生活にも支障が出るようであれば、自然に治まるのを待たずに医師に相談するようにしてください。
吐き気や下痢への対処法について
吐き気や下痢の多くは、数日〜1週間ほどかけて次第に軽快していきます。
しかし症状が治るまでの間に辛いと感じるようであれば、以下の対処法を試してみてください。
低用量からはじめる
リベルサスには、3mg・7mg・14mgの3つの用量があります。
吐き気や下痢は用量を増やすタイミングで起こりやすいので、3mgの低用量からスタートすると症状を軽減できます。
また症状から、医師の判断により休薬または減薬で対処することもあります。
食事の内容を変える
消化の遅れを助長してしまう高繊維質や高脂質な食べ物は、吐き気を増悪させることがあります。
吐き気を感じる日には、イモ類(さつまいもなど)、大豆製品(豆腐など)、バナナ、海藻類など、消化の負担が少ないやわらかい食べ物を選んでください。
水分を取る
下痢を起こすと、水分と電解質が不足します。
数日続いてしまうと脱水を起こすこともあるので、水やORS(経口保水液)、スポーツドリンクなどで水分を補うようにしてください。
医師に相談する
吐き気や下痢は軽度かつ一時的な副作用ではあるものの、持続的な激しい腹痛や嘔吐、脱水などに発展すると、以下のような副作用の可能性があります。
・急性腎障害
・胆石症、胆のう炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸
あきらかな異常や不安を感じる場合には自己判断で対処せず、直ぐ医師に相談してください。
リベルサスの副作用はいつから起こる?
リベルサスの副作用が起こるタイミングには個人差がありますが、副作用が起こりやすいとされているタイミングは2つあります。
・用量を増やした時
身体が薬に慣れていない時に副作用が起こりやすい傾向にあるので、はじめて服用する人や、用量の調整を医師に指示されたタイミングは特に注意してください。
またリベルサスは消失半減期が約1週間と長く、効果が長持ちします。
そのため服用を終了した後に副作用が起きることもあり、副作用が生じるまでにタイムラグが生じることがあるので注意が必要です。
リベルサスの重い副作用について
リベルサスは軽度や中等度の一般的な副作用だけでなく、重い副作用が起きることが報告されています。
症状 | 発生頻度 |
---|---|
低血糖 | 頻度不明 |
急性膵炎 | 0.1% |
胆のう炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸 | 頻度不明 |
これらの重い副作用の発生頻度は低いものの、万が一の場合は深刻な健康問題につながるおそれがあります。
以下で重い副作用についてそれぞれ解説していくので、初期症状から重い副作用を疑う1つの目安にしてください。
低血糖
低血糖とは、血糖値が正常範囲以下になっている状態です。
脱力感、倦怠感、異常な空腹感、冷や汗、顔面蒼白、動悸、振戦(ふるえ)、頭痛、めまい、吐き気、視覚異常など
症状は血糖値が下がるほど深刻になっていき、最終的には意識がもうろうとしたり、深い昏睡状態に陥ることもあります。
リベルサスは血糖値が高い時に作用するので、単独で使用した場合の低血糖のリスクは低いとされています。
しかし、以下に該当する場合には低血糖のリスクが高まります。
・脳下垂体機能不全または副腎機能不全
・食事摂取量の不足(栄養不良、飢餓状態、不規則な食事、衰弱状態)
・激しい運動
・空腹時の運動
・過度のアルコール摂取
飲み合わせや健康状態だけでなく、ダイエットのために過度な食事制限や、激しい筋肉運動を服用と平行してしまうと低血糖を起こす可能性があるので控えてください。
急性膵炎
急性膵炎は、膵液に含まれる消化酵素が膵臓にダメージを与えてしまうことで発症する病気です。
嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛、吐き気、背中の痛みなど
リベルサスは膵臓に作用して血糖値を下げる薬なので、膵臓に急激な負担がかかってしまい急性膵炎を起こすことがあります。
上記のような急性膵炎を疑う症状がある場合、服用を中止して医師に直ぐ相談してください。
なお、膵炎と診断された場合、リベルサスの服用を続けることはできません。
また過去に膵炎の既往歴がある場合、急性膵炎のリスクが高まることからリベルサスの服用ができないと判断されることもあります。
胆のう炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸
2024年2月5日にリベルサスの添付文書の改訂があり、新たに重い副作用として「胆のう炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」が追記されました。
リベルサスを含むGLP-1受容体作動薬には、胆嚢収縮抑制作用などがあります。
この作用により胆石(結石)の発生が促され、急性胆道系疾患が引き起こされる可能性があるとされたためです。
また国内での症例報告もあることから、今回の改訂に至っています。
右上腹部の痛み、発熱、寒気、目や皮膚が黄色くなる、褐色尿、白っぽい便、吐き気、嘔吐など
リベルサスの服用中に上記症状が現れた場合は適切な処置が必要になるので、服用を止めて直ぐ医師にご相談ください。
リベルサスの副作用における注意点
リベルサスの副作用を100%防ぐことはできませんが、正しい知識と注意によりリスクを最小限にとどめることは可能です。
以下で注意点を解説していくので、服用中の体調の変化を感じた際に役立ててみてください。
万が一の低血糖に備える
リベルサスで低血糖を起こすことは稀ですが、可能性はゼロではありません。
低血糖は糖尿病の有無とは関係なく突然起きるので、万が一症状が現れた場合に備え、以下のいずれかを携帯あるいはすぐに摂れる環境を整えておきましょう。
・砂糖20g
・同等の糖分を含んだ清涼飲料水
清涼飲料水については、以下を参考にしてください。
コカ・コーラ、ファンタなど
■砂糖を20g以上含む飲料
紅茶花伝、午後の紅茶、ジョージアなど
ちなみにカロリーゼロやノンカロリー、低カロリーなどの表示がある飲料や、スポーツドリンク、人工甘味料などは糖分の補給には適していないので注意です。
用量の調整
リベルサスの服用量の調整は、自己判断で行ってはいけません。
効果と副作用のバランスから適切な用量が決まっており、オーバードーズ(過剰摂取)は副作用のリスクを自ら高めることにつながります。
一度に複数錠をまとめて服用するのは控え、指示された用量で服用を続けるようにしてください。
なお、ダイエット薬としてリベルサスを用いる場合、用量は3mgからスタートするのが一般的です。
3mgの服用を4週間以上続け、減量効果が出ているようであれば増量する必要はありません。
やせ願望のためにリスクを冒し、身体に合わない用量は使用できないので注意してください。
他の薬との飲み合わせ
リベルサスは、「他の糖尿病治療薬」や「甲状腺ホルモン製剤」との飲み合わせに注意が必要です。
これらの薬を誤って併用してしまうと、必要以上の作用が強まるおそれがあり、副作用が生じやすくなる可能性もあります。
服用前の確認はもちろん、服用中に薬の追加が必要になった場合も、必ず医師に飲み合わせについて相談してください。
保管方法
リベルサスの錠剤は吸湿性が強いことから、劣化を抑えるためにシートにより防湿されています。
錠剤が湿気を含んでしまうと、成分が変わって効果が期待できなくなることや、品質が落ちて副作用が現れる可能性もあります。
錠剤を取り出してピルケースで保管するなどは控え、服用直前にシートから取り出すようにしてください。
定期的に医師の診察を受ける
リベルサスを服用しても、体重減少が確認できないこともあります。
この場合、慢性的に服用を続けても副作用のリスクだけが残ってしまうおそれがあります。
用量の調整や他のダイエット薬への切り替えなども含め、治療を続ける必要性については定期的に医師の診察を受けるようにしてください。
リベルサスの副作用についてのまとめ
リベルサスの副作用について、特に注意すべきポイントを以下にまとめます。
・胃腸障害は稀に重い副作用の初期症状であることも
・はじめての服用や用量を増やした時に副作用が起きやすい
・健康状態によっては副作用のリスクが高まる
リベルサスはダイエット薬として用いられますが、医薬品である以上は使用に副作用のリスクが伴います。
100%副作用がない薬というのは存在しないので、体重減少と副作用のメリット・デメリットを十分に比較し治療に用いるか検討してみてください。
また服用中に「いつもと違う」と少しでも異常を感じることがあれば、すぐ医師に相談してください。
よくある質問
リベルサスの主な副作用は?
リベルサスのもっとも一般的な副作用は、吐き気や下痢といった胃腸障害です。
はじめて服用したり、用量の増加により身体が慣れていないタイミングで現れやすいです。
一時的な症状で時間の経過とともに軽快していきますが、症状の増悪がみられる場合には医師にご相談ください。
リベルサスの副作用が起きやすい人はいますか?
特定の健康状態や服用中の薬がある人は、リベルサスの服用に注意が必要になります。
たとえば、膵炎、重い腎臓病、または重い胃腸障害の既往歴や、糖尿病の治療薬を服用しているなどが挙げられます。
副作用のリスクから服用できないと判断されることもあるので、リベルサスの処方を希望するのであれば医師の診察が不可欠です。
リベルサスと平行して食事制限や運動を行うのは問題ありませんか?
太らないための生活習慣を身に着けることは、リベルサスによる治療後のリバウンドを回避するという意味でも有効です。
ただし、過度な食事制限や激しい運動は、重い副作用である低血糖のリスクを高めます。
バランスの良い食事を心がけ、運動もウォーキングなど軽めのメニューで調整してみてください。
リベルサスの吐き気には市販の胃薬は効きますか?
市販の胃薬の併用は可能ですが、対症療法になるので根本的に吐き気を抑えることはできません。
吐き気が生活に支障を来しているようであれば、医師に相談して休薬や減薬など適切な処置を受けるようにしてください。
リベルサスを服用しているが、体重が一向に減らない場合にはどうすればいいですか?
リベルサスを服用しても体重減少がない場合、用量の調整や他のダイエット薬への切り替えが推奨されます。
いずれも医師への相談が必要になるので、効果がないまま慢性的に服用を続けるのは控えてください。
効果がないのに副作用のリスクだけが残ってしまうので要注意です。