ゼニカル(オルリスタット)で脂質コントロール|安全かつ効果的な使用のための基本情報
ゼニカル(オルリスタット)は、肥満改善を目的に処方される抗肥満薬の1つです。
摂りすぎが太る原因にもなる脂質にアプローチできる薬になり、食事制限を緩和しながらダイエットを成功をサポートします。
このページでは、ゼニカルの効果や副作用に加え、使用上の注意点について解説しています。
メディカルダイエットとしてゼニカルを検討されている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
ゼニカル(オルリスタット)とは
ゼニカル(オルリスタット)とは、食事に含まれる約30%の脂肪分の分解・吸収を防ぎ、便といっしょに排泄させる脂肪吸収阻害薬です。
肥満管理に役立てられ、カロリー制限した食事と組み合わせることで体重減少・維持が可能になります。
- ゼニカルを使用できる肥満基準
-
・生活習慣病などのリスクがある初期BMI30以上
・BMI27以上
ゼニカルは海外で開発された医薬品であり、肥満の基準(BMI)は国や地域によって異なる場合があります。
日本における肥満の基準はBMI25以上と定められています。
そのため治療対象となるかどうかはクリニックに相談し、適正な使用ができるかを医師に判断してもらうことをおすすめします。
ゼニカルの特徴
ゼニカルには、以下のような特徴があげられます。
・脂質制限ダイエットに近い効果が得られる
・20年以上使われているポピュラーな薬
・世界100ヵ国以上で処方されている
・世界70ヵ国以上で市販薬として購入できる
ゼニカルにより吸収されなかった脂肪分の一部は便といっしょに排泄されるので、目に見える効果を実感しやすく続けやすくなっています。
また世界的にも使用実績が長く、市販薬としても販売されているので比較的安全性が高いことも特徴です。
日本でも2024年4月8日にダイレクトOTCとして、「アライ(オルリファスト60mg)」が大正製薬より発売となります。
ゼニカルはダイエットのための食事制限を緩和する薬なので、上手く付き合っていくことで肥満の悩みを解消できます。
ゼニカルの処方薬と市販薬の違い
ゼニカルは日本でも市販薬として購入できるようになるため、処方薬と市販薬の違いについてまとめておきます。
ゼニカル | 市販薬(アライ) | |
---|---|---|
用量 | 120mg | 60mg |
入手方法 | 医療機関 | 薬局薬店 |
使用目的 | 肥満治療 | 自己管理の一環 |
治療対象者 | BMI25以上 | 腹囲(男性85cm以上・女性90cm以上)など |
ゼニカルの処方薬と市販薬の主な違いは用量です。
市販薬は自己管理を前提としているため、用量は処方薬の半分の60mgに設定されているので効果もおだやかになります。
購入しやすいというメリットはありますが、食生活や生活習慣の改善が伴わなければ、期待する体重変化を実感するのは難しいかもしれません。
処方薬、市販薬を問わず、ゼニカルによる減量や体重管理・維持には健康的な食生活や適度な運動は必要です。
いずれを選択するにせよ、医師や薬剤師と相談を通じて、自身の健康状態や他の薬との飲み合わせを考慮した上で最適な選択を行うことが大切です。
ゼニカルの効果
ゼニカルの効果をわかりやすく言うと、「食べなかったことにする」です。
本来、食事から摂取した脂肪分は、小腸でリパーゼという酵素の働きによって以下のようにして体内に吸収されていきます。
①食事を摂取(油・脂)
↓
②リパーゼにより分解
↓
③体内に脂肪分が吸収される
しかし、有効成分であるオルリスタットはリパーゼの働きを阻害します。
その結果、脂肪分は体内に吸収されず、吸収されなかった脂肪分は便とともに排泄されるというシンプルな仕組みとなります。
脂質制限に近い効果が得られ、ダイエット中に脂質多めの高カロリーな食事を摂ってしまっても安心です。
ゼニカルの副作用
ゼニカルの副作用として、最も一般的とされているのが以下のような胃腸症状です。
・オイリースポッティング
・分泌物を伴う放屁
・便秘の切迫感
・脂肪/油っぽい便
・油分の漏れ
・排便量の増加
・便失禁
・胃痛
・吐き気
など
吸収されなかった油分は無意識に排泄されてしまうことがありますが、脂肪分の少ない食事に切り替えることで副作用を減らすことが可能です。
脂質の摂りすぎを抑えることにもつながるので、副作用への対処が結果的にダイエットにもつながります。
また排泄される油分については、透明であることもあれば、オレンジや茶といった着色がある場合もあります。
こうした副作用は一時的なもので、ゼニカルの使用を続けることで軽減されるのが一般的です。
ただ、副作用には個人差があるため、ほかにも気になる症状があれば、自己判断はせずに医師にご相談ください。
ゼニカルの服用方法
ゼニカルは、食事中または食後1時間以内に以下のとおりに服用します。
1日3回、1回1カプセル(120mg)を服用
食事を忘れてしまったり、脂肪分の少ない食事であれば、その食事のための服用は省略して構いません。
したがって、服用回数については個々の食事状況に応じて調整可能です。
また、ゼニカルの用量や服用回数を増やしても効果は高まらず、副作用のリスクを増加させる可能性があります。
正しい服用方法を守り、自己判断で用量や服用回数の変更は控えてください。
ゼニカルの注意点
ゼニカルは体重管理をサポートするのに効果的な治療薬ですが、その使用にはいくつかの注意点があります。
特定の健康状態や薬の種類によっては併用が推奨されないことや、特別な注意が必要になることもあります。
以下で、ゼニカルの使用に際しての禁忌や注意点について詳しく解説します。
禁忌
禁忌とは、ゼニカルを使用してはいけない健康状態や体質を持っている人のことを指します。
ゼニカルは、以下の場合には禁忌です。
・妊娠またはその可能性がある人
・授乳中の女性
・腸管の消化、吸収に問題がある人
・胆のうに異常が認められている人
・ゼニカルの成分に対してアレルギーの経験がある人
・他のダイエット薬を使用中の人
・摂食障害などの摂食異常がある人
この他にも、医師が安全に使用できないと判断した場合には治療を受けられないこともあります。
すでにゼニカルによる治療を受けている人も、健康状態に変化があれば医師に申し出るようにしてください。
併用注意(飲み合わせ)
ゼニカルの併用注意(飲み合わせ)に指定されている薬は、以下のとおりです。
■シクロスポリン
シクロスポリンの作用が弱まるので、同タイミングで併用できません。使用する場合にはゼニカル服用から3時間以上の時間を空けてください。
■レボチロキシン
併用したことで、甲状腺機能低下症が報告されています。併用する場合にはそれぞれの服用間隔を4時間以上空けてください。
■ワルファリン
ゼニカルによりビタミンKの吸収が低下する可能性があり、これによりワルファリン(抗凝固剤)を併用すると出血しやすくなることがあります。
■アミオダロン
アミオダロンは抗不整脈薬の一種で、ゼニカルとの併用で治療効果が低下する可能性があります。
■抗てんかん薬
併用により、けいれんの報告があります。
■抗レトロウイルス薬(HIV治療薬)
アタザナビル、リトナビルなどのHIV治療薬とゼニカルを併用してしまうと、HIVウイルス量が増加する可能性があります。
ゼニカルと上記の薬は併用しないのが原則で、併用によるリスクよりも、ゼニカルで治療するメリットが上回った場合にのみ併用となります。
加えて、併用する場合には医師による健康状態のモニタリングが必要になることもあるので覚えておいてください。
その他の注意事項
その他の注意事項として、ゼニカルは脂溶性ビタミン(A・D・E・K、βカロテン)の吸収を低下させることがわかっています。
十分な栄養を確保するためにも、脂溶性ビタミンを含むマルチビタミンの併用が強く推奨されています。
マルチビタミンを摂取するタイミングについては、ゼニカル服用の少なくとも2時間前または服用後2時間以上を空けて1日1回摂取してください。
ゼニカルまとめ
ゼニカル(オルリスタット)は、食事に含まれる脂肪分の吸収を抑えることで体重管理をサポートする薬です。
・食事に含まれる脂肪分の約30%をカット
・一般的な副作用として胃腸症状がある
・マルチビタミンとの併用が強く推奨されている
・禁忌や併用注意があるので自己判断で服用しない
・市販薬は用量が少ないので効果はおだやか
・ゼニカル服用には医師または薬剤師の相談が必要
ゼニカルを服用しているだけでは、ダイエットを成功に導くのは難しいです。
効率的に痩せるためにも、食事の見直しや適度な運動を取り入れていきましょう。
ゼニカルに関するよくある質問
ゼニカルはどのようにして体重を減らしていきますか?
ゼニカル(オルリスタット)は、食事から摂取した脂肪分の約30%を体内に吸収させずに便といっしょに排泄させます。
これにより脂質のコントロールを可能にし、ダイエットでストレスになる食事制限をゆるやかにしてくれます。
ゼニカルには副作用はありますか?
ゼニカルには、副作用として胃腸症状が報告されています。
・オイリースポッティング
・分泌物を伴う放屁
・便秘の切迫感
・脂肪/油っぽい便
など
これらは一時的なものとなり、適切な食事管理や服用を続けることで軽減できる可能性が高い症状となっています。
ゼニカルは市販薬として購入できますか?
日本では、2024年4月8日からダイレクトOTC(医療用医薬品での発売を経ずに市販される薬)として「アライ」という製品名で大正製薬から登場します。
ゼニカルにも市販薬の選択肢が追加され、自己管理の一環として購入が可能になります。
ゼニカルを服用すれば好きなものを食べながら痩せられますか?
ゼニカルは食事の脂肪分を30%カットしますが、それに甘んじて高カロリー・高脂質の食事を繰り返していると効果を得るのは難しくなります。
1日の総カロリーの脂質が30%を超えると副作用も起こりやすくなるので、一定の食事制限が必要になることは覚えておいてください。
ゼニカル服用中の運動は必要ですか?
ゼニカル服用中の運動は、ダイエットを効率的に進めるために必要です。
また、ゼニカルに頼ってライフスタイルを見直さないと、治療後にリバウンドのリスクが上がります。