サクセンダの正しい打ち方|使用前の準備から注射手順や注意点を徹底解説
サクセンダは体重減少や維持・管理をサポートするのに効果的な治療薬ですが、その効果を最大限に活かすには正しい打ち方を実践するのが不可欠です。
また正しく打つことは、副作用や安全性への懸念を軽減することにもつながります。
このページではサクセンダの正しい打ち方をはじめ、使用前・中・後の重要なポイントや注意点を詳しく解説しています。
効果的かつ安全にサクセンダを使用するために、ぜひ参考にしてください。
サクセンダの打ち方について
サクセンダは体重減少や管理・維持に役立つ抗肥満薬であり、使用にあたっては1日1回の皮下注射が必要です。
自己注射なのでハードルが高いと感じるかもしれませんが、痛みを伴うことはほとんどなく、慣れてしまえば1分ほど使用できます。
しかし、そのためにはサクセンダの正しい打ち方を覚える必要があり、治療をはじめる前には医師による自己注射指導を受けることも不可欠です。
一般的な飲み薬とは異なり、注射を打つ前には準備が必要です。
まずは、サクセンダの使用前に必要な準備について見ていきましょう。
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サクセンダを打つ前の準備
サクセンダを打つ前に、いくつかの準備が必要です。
事前準備はスムーズに自己注射を行うためだけでなく、治療効果や安全性に関わる重要なポイントです。
以下の準備が整っているかチェックし、サクセンダの使用を行っていきましょう。
準備するもの
自己注射を行う前に、以下のものが準備できているかチェックしてください。
サクセンダ本体
キャップを外して薬液が無色透明かを確認してください。濁りや変色、または浮遊物がある場合は使用できません。
新品の針
注射ごとに新しい針と交換が必要です。
アルコール綿
注射部位およびサクセンダ本体のゴム栓の消毒に使用します。
プラ容器類
使用済みの針やサクセンダ本体を安全に廃棄するため使用します。
これらの準備が整ったら、次にサクセンダの正しい打ち方手順について詳しく見ていきましょう。
サクセンダの打ち方手順
サクセンダを打つ際は、正確な手順に従って行うことが大切です。
以下のステップに従って、安全かつ効果的な使用を心がけてください。
本体ゴム栓の消毒
サクセンダ本体のキャップを外し、先端のゴム栓をアルコール綿で消毒してください。
清潔な状態を保つためにも、針を取り付ける前に毎回行います。
新しい針のパッケージを開封する
新しい針のパッケージを開封し、針を取り出してください。
以下の理由から、使用済み針の再利用は避け、必ず1回ごとに新しいものを使用してください。
- 針を再利用できない理由
-
・清潔な状態を保つ
・薬液が針の中で固まることがある
・カートリッジに空気が入る
衛生面だけでなく、注入不良や注射器本体の損傷を防ぐためにも新しい針への付け替えは重要です。
針の取り付け
消毒したゴム栓に対して針をまっすぐ取り付け、時計回りに回しながら固定し、キャップ(外蓋(透明)・内蓋(青))を外してください。
注射針がゴム栓に刺さっていないと、注入時のトラブルの原因になりかねません。
- 注入トラブル例
-
・薬液が出ない
・注入ボタンが押せない、また押し切れない
など
こうしたトラブルが発生した場合、針の後ろ側が正しくゴム栓に刺さっているか、針が曲がったり折れていないかを確認してください。
空打ち
針を取り付けた後、針内部に薬液を充填するために空打ちを行います。
- 空打ちの手順
-
①ダイヤル部分の目盛りを「・・」に合わせる
②針先を上に向けて本体を軽く指で数回はじく
③本体下部(お尻部分)のボタンを押す
④ダイヤルが「0」になり針先から薬液が出たら完了
薬液がもったいないと感じるかもしれませんが、注射する前に必ず空打ちを行ってください。
なお、薬液が出ない場合、同じ手順を最大6回繰り返します。
これでも薬液が出ない場合、注射針が正しく取り付けられていないか、本体トラブルの可能性があるので医師にご相談ください。
注入量のダイヤルを確認
ダイヤルの目盛りを医師に決められた投与量に合わせます。
もしダイヤルを回し過ぎてしまった場合、反時計回りにダイヤルを回せば戻すことが可能です。
- サクセンダの一般的な投与スケジュール
-
治療開始(第1週目):0.6mg
↓
増量期(第2~4週目):1.2mg・1.8mg・2.4mg
↓
治療維持(第5週目~):3.0mg
投与量は0.6mgからスタートし、身体を薬に慣らしながら0.6mgずつ増やしていきます。
効果を得やすい投与量には個人差があるので、増量のスケジュールについては医師の指示に従ってください。
自己注射
静脈や筋肉への注射を避けるため、脂肪がある「太もも」「上腕」「腹部」のいずれかの注射部位をアルコール綿で消毒し、以下の手順で自己注射を行います。
- 例:腹部
-
①サクセンダ本体の目盛りが見えるように持つ
②もう片方の手で親指と人差し指で腹部をつまむ
③つまんだ下腹部に対して針を垂直に刺す
④本体下部(お尻部分)のボタンを押す
⑤目盛りの数値が0になったことを確認
⑦針を挿入したまま6秒ゆっくり数える
⑧針をゆっくり抜く
サクセンダを打った部位が痩せることはありません。
そのため、注射しやすいと感じる部位を選んでください。
針の取り外しと廃棄
針に外蓋(透明)をはめます。
その後、反時計回りに蓋を回すと針が本体から外れます。
準備しておいたプラ容器類に外した針を入れ、通院時にクリニックに持参してください。
サクセンダの打ち方のポイント
サクセンダを安全かつ効果的に使用するためには、正しい打ち方だけでなく、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
- サクセンダの打ち方ポイント
-
・注射するタイミング
・注射部位のローテーション
・打ち忘れた場合
・サクセンダの保管方法
・副作用の管理
・医師の定期的な診察
これらのポイントについて、それぞれ詳しく解説していきます。
注射を打つタイミング
サクセンダは食事の影響を受けないため、基本的に注射を打つタイミングに決まりはありません。
しかし、副作用が出やすくなるのを避けるために、注射の間隔が短くならないように適切な間隔を保つことが大切です。
NG例:
夜に注射打つ→翌日朝に注射を打つ
できるだけ同じ時間帯に注射を行うことで、間隔を調整する負担がなくなり、副作用のリスクも軽減されます。
また、いつ打つかについては、食事量が多いタイミングに合わせることをおすすめします。
サクセンダの食欲抑制効果のピークは、注射後7.5時間〜11時間です。
このピーク時間を考慮して、注射のタイミングを逆算するのが効果的な使用法となります。
注射部位・箇所のローテーション
サクセンダの注射部位は「太もも」「上腕」「腹部」のいずれかですが、同じ部位に打つ場合には注射箇所を変える必要があります。
目安としては、前回の注射箇所より2〜3cm(指2本分程)ずらして打ってください。
同一箇所に繰り返し注射を打ってしまうと、「皮膚アミロイドーシス」を起こすことがあります。
これは皮膚症状の1つで、注射箇所にしこりのような固まりが形成されてしまい、サクセンダの吸収が悪くなる原因にもなります。
特に、注射器を持った手と逆方向には手を持っていきづらいため、自然と同じ箇所に注射を打ってしまいがちです。
効果的な治療を行うためにも、意識的に注射箇所をローテーションさせるようにしてください。
打ち忘れた場合
サクセンダを打ち忘れた場合、普段の注射時間からどれだけ時間が経過しているかに応じて対処法が異なります。
- 打ち忘れの対処法
-
普段の時間から12時間未満:注射可能
普段の時間から12時間以上:その日の投与はスキップ
打ち忘れてしまった分を、次回にまとめて投与することはできません。
効果を安定させるためには、サクセンダは決まった時間に打てるよう、スマホのリマインダー機能などの活用をおすすめします。
また、3日以上打ち忘れが続いた場合、再開時に吐き気などの副作用が起こりやすくなります。
このような状況では、最小投与量の0.6mgに戻し、身体を少しずつ薬に慣らしていくことをおすすめします。
適切な保管・保存方法
サクセンダの保管・保存方法は、開封前後で異なります。
■開封前
・冷蔵庫(2~8℃)で保存
・冷気が直接あたるところは避ける(ドアポケット推奨)
■開封後
・室温保存(30℃以下)
・直射日光や高温多湿な環境での保管は避ける
・開封後は30日以内に使い切る
■保管上の注意
・薬剤本体と針は子供の手の届かないところに保管
・使用期限を過ぎたものは使用しない
・見た目の変化(濁りや浮遊物、変色など)があれば使用しない
適切に保存・保管することで、サクセンダの効果や安全性は保たれます。
上記を守って、正しく管理するようにしてください。
サクセンダ使用中の注意事項
サクセンダの使用にあたって、特定の健康状態や他の薬との飲み合わせによって副作用が起きやすくなる場合があります。
以下に、注意が必要な一部の例をあげます。
■健康状態
・すでに痩せている人
・サクセンダの成分にアレルギーがある
・糖尿病、肝臓・腎臓、胆のうなど持病がある
・未成年や高齢者
・妊婦や授乳婦
など
■飲み合わせ
・他の糖尿病治療薬
使用前には、医師の診察によりこれらのリスクは確認が行われます。
そのため医療機関であれば、知らずにサクセンダを使用してしまう心配はありません。
サクセンダの使用前だけでなく、使用中にも健康問題がわかることや、他の治療薬が必要になることもあります。
自己判断はせず、サクセンダを使用を続けられるかは都度医師に相談するようにしてください。
投与量の管理
サクセンダの投与量は、ダイヤルを回せば簡単に調整が可能です。
これは、用量変更の際に新たに薬を処方してもらう必要がないメリットになります。
しかし、自己判断で用量を調整すると、吐き気などの胃腸症状が副作用として現れやすくなることがあります。
- 副作用が出やすくなるタイミング
-
・初めて使用する時
・投与量を増量した時
・3日以上打ち忘れが続いた時
サクセンダは毎日継続して使用する薬なので、安全に使用するためにも増量のタイミングは医師の指示に従うことが重要です。
医師の定期的な診察
サクセンダを効果的かつ安全に使用するためには、医師の定期的な診察が欠かせません。
これにより、ダイエット効果や体調の変化をモニタリングすることで、適切な投与量のコントロールが可能になります。
診察の頻度(目安) | 1ヵ月に一度(増量のタイミング) |
---|---|
診察内容 | 体重減少の進捗、健康状態の評価など |
投与量の調整 | 身体の反応に応じて、増量・減量・維持量を決定する |
サクセンダは、投与量を増やしたからといって、それに伴って減量のペースが上がるとは限りません。
体型や体重などパーソナルな部分も効果に影響するので、人それぞれ適切な投与量が異なることは覚えておいてください。
サクセンダの打ち方まとめ
サクセンダを効果的に使用するには、正しい打ち方を理解し実践することが不可欠です。
以下に、打ち方に関する重要なポイントを改めてまとめておきます。
・薬液に異常がないか使用前に確認する
・針は常に新しいものを使用する
・空打ちは注射前に必ず行う
・投与量は医師に指示に従う
・注射部位や箇所はローテーションさせる
・できる限り同じ時間帯に打つ
サクセンダの使用を続けるにあたっては、医師の指導や定期的なフォローアップが必要です。
自己判断で使用を続けてしまうのは避け、使用中の気になることや体調の変化・異常を感じるようなことがあれば速やかに医師にご相談ください。
サクセンダの打ち方に関するよくある質問
サクセンダの使用方法は?
サクセンダは1日1回、太もも、上腕、腹部のいずれかの部位に皮下注射を行います。
投与量は0.6mgからスタートし、効果と体調面を考慮しながら医師の判断で増量を行います。
サクセンダを打つ時に痛みはありますか?
サクセンダの注射時に感じる痛みには個人差があります。
針の径は非常に細く、一般的な点滴や予防接種用の針(約0.8mm)の約1/4ほどの太さ約0.23mmです。
このため、痛みをほとんど感じないか、あるいは軽度の痛みを感じる程度になります。
サクセンダを注射するタイミングは決まっていますか?
サクセンダの注射タイミングは決まっていませんが、投与間隔や効果のピークを考慮すると、毎日決まった時間帯に注射することが推奨されています。
サクセンダを打ち忘れた場合はどうすればいいですか?
打ち忘れに気づいたのが、普段の注射時間から12時間未満であれば注射可能です。
しかし、12時間以上が経過してしまっているのであれば、その日の投与はスキップして、翌日はいつも通りの時刻に注射を行ってください。
使用済みの針や本体はどのように処分すればいいですか?
使用済みの注射針については、一時的にプラ類容器にまとめて保管してください。
この容器を追加の処方を受ける際に持参し、医療機関で処分となります。
一方、本体については可燃ごみとして捨てることが可能です。
ただし、本体に薬液が残っていないことを確認し、地域の廃棄物処理のルールに従ってください。
サクセンダはどのくらいの期間打ちますか?
サクセンダの使用期間については、個人の目標体重や身体の反応、ライフスタイルなどによって異なります。
一般的には1ヵ月で1〜3kgほどの減量効果が得られるので、そこから逆算して医師と治療計画を立てるようにしてみてください。