サクセンダと副作用|症状と頻度、対処のポイントを解説

サクセンダと副作用|症状と頻度、対処のポイントを解説
痩身治療
ダイエット薬

サクセンダは体重減少や管理・維持をサポートする医薬品として、肥満の悩みを解消するために役立てられます。
しかし医薬品である以上、効果だけでなく、使用中に副作用が発生することも。
このページでは、サクセンダの使用中に報告されている副作用の種類や、それらの発生頻度について詳しく解説しています。
また、特に報告の多い吐き気への対処法や、日常的な注意点などにも触れているので、治療を検討する際の参考にしてみてください。

サクセンダの副作用について

サクセンダは、治療開始や投与量を増やしたタイミング、また3日以上の投与を忘れた次の注射時に起こりやすい傾向にあります。
使用中によく見られる副作用として、以下のような症状があげられています。

・吐き気、下痢、便秘、嘔吐
・注射部位の反応(紅斑、発疹、内出血、かゆみ、痛みなど)
・低血糖、頭痛、倦怠感、めまい、腹痛
・血中の酵素(リパーゼ)レベルの変化

特に吐き気と下痢は報告される頻度が高く、吐き気については使用した約2人に1人は経験する副作用となっています。

サクセンダは日本では未承認薬のため、副作用に関する国内データは多くはありません。
そのため、メーカーであるノボノルディスクが報告している海外臨床試験データに基づいて、サクセンダとプラセボ群とを比較した副作用の頻度を部位ごとに詳しく見ていきます。
いずれの副作用も頻度が2%以上となっており、稀なケースではありますが重篤な副作用についても解説していきます。

胃腸障害

症状 サクセンダ
(n=3384)
プラセボ
(n=1941)
吐き気 39.3% 13.8%
下痢 20.9% 9.9%
便秘 19.4% 8.5%
嘔吐 15.7% 3.9%
消化不良 9.6% 2.7%
腹痛 5.4% 3.1%
上腹部痛 5.1% 2.7%
胃食道逆流症 4.7% 1.7%
腹部膨満 4.5% 3.0%
おくび(げっぷ) 4.5% 0.2%
鼓腸 4.0% 2.5%
口の渇き 2.3% 1.0%

代謝および栄養障害

症状 サクセンダ
(n=3384)
プラセボ
(n=1941)
低血糖 23.0% 12.7%
食欲の低下 10.0% 2.3%

神経障害

症状 サクセンダ
(n=3384)
プラセボ
(n=1941)
頭痛 13.6% 12.6%
めまい 6.9% 5.0%

全身および皮下組織障害

症状 サクセンダ
(n=3384)
プラセボ
(n=1941)
倦怠感 7.5% 4.6%
注射部位の紅斑 2.5% 0.2%
注射部位の反応
(痛痒、発疹など)
2.5% 0.6%
無力症 2.1% 0.8%

感染症

症状 サクセンダ
(n=3384)
プラセボ
(n=1941)
胃腸炎 4.7% 3.2%
尿路感染 4.3% 3.1%
ウイルス性胃腸炎 2.8% 1.6%

検査数値異常

症状 サクセンダ
(n=3384)
プラセボ
(n=1941)
リパーゼの増加 5.3% 2.2%

精神障害

症状 サクセンダ
(n=3384)
プラセボ
(n=1941)
不眠症 2.4% 1.7%
不安 2.0% 1.6%

重篤な副作用

サクセンダは、以下のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。

膵炎
嘔吐の有無に関わらず、腹部の激しい痛みが消えないことや、腹部から背中にかけて痛みを感じることがあれば膵炎の疑いがあります。

胆のう
腹部の痛み、発熱、黄疸(皮膚や目の黄変)、粘土色の便などがみられると、胆のう炎や胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸といった胆のう疾患の疑いがあります。

低血糖のリスク増加
SU薬(スルホニルウレア剤)やインスリンなど、2型糖尿病治療薬とサクセンダを併用すると低血糖のリスクが増加します。

心拍数の増加
安静時に心拍数が増加することがあり、胸の高鳴りやドキドキを感じ、そうした症状が数分間続く場合には医師にご相談ください。

腎不全
最も一般的な副作用である、吐き気や嘔吐、下痢により脱水症を起こし、そこから腎不全を起こす可能性があります。
水分をたくさん摂取すれば脱水症のリスクは減りますが、症状が長引くようであれば注意が必要です。

重いアレルギー反応
顔や唇、舌、喉の腫れ、呼吸困難、薬疹、重度の皮膚反応など、重大なアレルギー反応の兆候が見られた場合は、直ちに医療機関に受診してください。

うつ病や自殺念慮
精神的な変化の中でも、特に気分、行動、思考、感情の突然の変化には注意が必要です。
新たな精神的な変化や悪化、または不安を感じるようであれば医師にご相談ください。

サクセンダの副作用として一般的な胃腸症状が、より重い症状に発展する前兆となることがあります。
またメンタルヘルスに不調が出ることもあるので、心身に異常を感じる際は使用を中止して医師の診察を受けることが大切です。

サクセンダの副作用が治まるまでの期間

サクセンダによる軽度から中等度の副作用であれば、数日から数週間で自然に治まるのが一般的です。
身体が薬に適応しはじめると次第に治まってきますが、症状が長く続いたり、日常生活に支障を来すようであれば身体に合っていない可能性があります。
その場合、医師と相談して、投与量を減らして様子を見たり、必要に応じて投与中止を検討することも推奨されます。

副作用への対処法

サクセンダの副作用への対処法
サクセンダ使用中に報告がもっとも多い副作用が、吐き気です。
約2人に1人が経験するので、吐き気に対しての対処法を知っておくことは、症状をやわらげ、治療を続けやすくする上で重要です。

・胃にやさしいものを食べる(お粥、豆腐、スープなど)
・1回の食事を複数回に分ける
・食後すぐ横にならない
・新鮮な空気を吸ってリラックス

これらの対処法は、軽度から中等度の症状を軽減するためのものです。
また、サクセンダの通常の投与スケジュールは、吐き気などの胃腸症状を抑えるよう設計されています。
自己判断で投与量を調整してしまうと吐き気が現れやすくなるので、医師の指示に従って正しく使用するようにしてください。

サクセンダの正しい打ち方|使用前の準備から注射手順や注意点を徹底解説

サクセンダ使用時の注意点

サクセンダの使用中に起こる副作用のリスクを軽減させ、安全に使用するためには、以下の注意点を守って使用することが大切です。

使用できない人

サクセンダを安全に使用するためには、以下の条件に該当する場合は使用を避ける必要があります。

・甲状腺髄様がん(MTC)の既往歴が本人または家族にある人
・多発性内分泌腫瘍2型(MEN2)を患っている人
・サクセンダの成分に対して重度のアレルギーの経験がある人
・妊娠中、または妊娠を予定している人

これらは海外データに基づいており、日本国内での処方においては、健康状態や年齢といった追加の制限が設けられている場合があります。
たとえば、2型糖尿病の人や、すでに痩せている人、未成年など、サクセンダを安全に使用するには一定の基準を満たしている必要があります。
自己判断による使用はできないので、必ず医師に相談して適性を確認してもらうようにしてください。

事前に医師に相談すべき人

サクセンダの使用を検討している人の中には、特定の健康状態や状況から使用するにあたって医師の慎重な判断が求められます。
以下に該当する人は、診察時に申し出るようにしてください。

・他のGLP-1受容体作動薬を使用している人
・重度の胃の問題を抱えている人(胃不全麻痺など)
・膵臓、腎臓、肝臓に問題がある人
・精神状態に問題(うつ病、自殺願望など)がある、または過去に経験がある人
・授乳中、あるいは授乳の予定がある人

これらの情報は、サクセンダを使用する上での安全性の確保や、治療を効果的に進める上でも重要になってきます。
この他にも、処方薬や市販薬、ハーブ、サプリメントなど、使用中のものがあれば申し出るようにしてください。

相互作用(飲み合わせ)

サクセンダを使用している間は、他の糖尿病治療薬との併用に注意が必要です。
血糖降下作用が必要以上に強まってしまい、低血糖を起こしやすくします。

・ビグアナイド系薬剤
・スルホニルウレア剤
・速効型インスリン分泌促進剤
・α-グルコシダーゼ阻害剤
・チアゾリジン系薬剤
・DPP-4阻害剤
・SGLT2阻害剤
・インスリン製剤等

特に、「スルホニルウレア剤」と「インスリン製剤」の2つは、低血糖のリスクをさらに高めてしまうので医師に相談するようにしてください。

さらに、サクセンダには胃の内容物の排出を遅らせる作用があります。
この作用が他の飲み薬の吸収に影響を与える可能性があるので、吸収されるまでに時間がかかってしまうこともあります。
服薬スケジュールに注意するとともに、サクセンダと他の治療との間で優先順位をどう設定するかは主治医と相談してください。

日常生活での注意点

サクセンダを使用している間は、以下の日常生活での注意点を守ることが望まれます。

■定期的な医師の診察
サクセンダの安全性や治療効果をモニタリングするためにも、定期的な医師の診察は不可欠です。これにより適切な治療計画の調整が可能になります。

■アルコール摂取
サクセンダ使用中の過度なアルコール摂取は、低血糖のリスクを高める可能性があります。治療中の飲酒はできる限り避けるようにしてください。

■自動車の運転や機械での作業
サクセンダ使用中に血糖値が下がることで、めまいやふらつきが現れることがあります。自身の体調は常に確認し、思わぬ事故を避けるためにも危険を伴う作業は極力控えてください。

■食事管理や運動
健康的な食事と適度な運動は、サクセンダの治療効果をサポートし、副作用のリスクも最小限に抑えられます。
ただし、断食やケトジェニックのような制限の厳しい食事管理法は避け、低血糖を起こさないためにも運動は汗ばむ程度にとどめることがおすすめです。

サクセンダの使用中は、ケースバイケースなことも少なくありません。
日常生活で気になることや不安がある場合は、その都度医師に相談することが安全な使用につながります。

サクセンダとは

サクセンダ
サクセンダとは、食事療法や運動療法を土台に、ダイエットをよりスムーズに行えるようサポートする抗肥満薬です。
アメリカやEU28ヵ国、韓国などで承認されており、週1回の自己注射により、食欲を減らす、あるいは調整する効果が得られます。

自己注射はハードルが高いと思われがちですが、臨床試験では使用した3,731人のうち85%に体重減少が認められています。
ダイエットを難しくする食欲を抑えられるので、無理のない継続的なダイエットの実現がサクセンダなら可能です。

サクセンダで変わる体重管理|最新ダイエット法をわかりやすく解説

サクセンダの副作用についてのまとめ

サクセンダは、食事や運動といった一般的なダイエットをサポートするための抗肥満薬です。
肥満に悩む人にとって効果的な治療薬となりますが、副作用が起こりうるため、以下の点には特に注意が必要になります。

・胃腸症状(吐き気や嘔吐など)は特に現れやすい
・薬に適応すると副作用は軽減するが自己判断しない
・使用できない人や飲み合わせの悪い薬がある
・稀だが重い副作用が現れることもある

副作用のリスクを最小限にとどめ、ダイエット効果を最大限に活かすためには、投与スケジュールや正しい使用がとても重要になります。
副作用の程度を問わず自己判断はせず、治療を続けやすくするためにも、サクセンダ使用中は定期的な医師によるモニタリングが欠かせません。

サクセンダの副作用に関するよくある質問

サクセンダ使用中に起こりやすい副作用はなんですか?

サクセンダの使用中に起こりやすい副作用は、以下のような症状です。

・吐き気、下痢、便秘、嘔吐
・注射部位の反応(紅斑、発疹、内出血、かゆみ、痛みなど)
・低血糖、頭痛、倦怠感、めまい、腹痛
・血中の酵素(リパーゼ)レベルの変化

特に吐き気は約2人に1人が経験するとの報告もあるので、サクセンダの副作用として最もよくみられる症状です。

サクセンダの副作用が現れやすいタイミングはいつですか?

サクセンダの副作用が現れやすいタイミングは、以下のとおりです。

・初めて使用した時
・投与量を増やした時
・投与間隔が3日以上空いた時

初めて使用した時を除いて、適切な投与量には個人差があります。
そのため投与量を調整するケースもあるので、必ずしも高用量を使用するとは限りません。

吐き気を感じる場合、どのように対処すればいいですか?

サクセンダの使用中に吐き気を催す場合、食事や環境を変えることで軽減することがあります。

・胃にやさしいものを食べる(お粥、豆腐、スープなど)
・1回の食事を複数回に分ける
・食後すぐ横にならない
・新鮮な空気を吸ってリラックス

ただし、いずれも一時的な対症療法になります。
症状が長く続いたり、悪化してくるようなことがあれば、医師に相談するようにしてください。

空腹感を感じるのは副作用ですか?

サクセンダには食欲を減らす、あるいは調整する効果がありますが、使用中に空腹感がある場合には以下のようなことが考えられます。

・投与量の調整が必要
・低血糖の兆候

いずれにしても自己判断は避け、医師に相談して適切に対処するようにしてください。

重い副作用が現れた場合、どうすればいいですか?

サクセンダの使用中に重い副作用が現れた場合、症状を悪化させないためにも、以下の基本的な対処を行ってください。

・直ぐに使用を中止する
・速やかに医師に連絡する
・症状の詳細を伝える(いつごろから、どんな症状かなど)
・呼吸困難や激しい腹痛などがあれば救急外来を利用する

重い副作用は非常に稀ですが、可能性としてはゼロではありません。
常に安全性を最優先し、「いつもと違う」と感じた際は迷わず医師にご相談ください。

サクセンダの副作用はいつ治まりますか?

軽度から中等度の副作用であれば、身体がサクセンダに適応してくる数日から数週間で自然に治まります。
しかし、副作用の現れ方や程度には個人差があり、悪化するサインになっているケースもあります。
したがって、日を追うごとに症状が重くなっていると感じた際には医師に相談するようにしてください。

参考文献

このページに提供されているサクセンダの副作用に関する情報は、以下の公式データに基づいています。

>>サクセンダの副作用
サクセンダ公式ウェブサイト

>>FDA(アメリカ食品医薬品局)のサクセンダに関するラベル情報
FDA公式ドキュメント

リンク先は、情報提供の時点では有効ですが、ウェブページの更新や変更がある可能性があるため、アクセス時には最新の情報を確認することをお勧めします。

記事の作成者表参道メディカルクリニック編集部
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