内臓脂肪とは?|増えた基準とリスク、減らし方
内臓脂肪とは、腹部の内臓周りに蓄積する脂肪のことを指します。
このページでは、内臓脂肪の基礎知識、増える原因とリスク、測定方法、減らし方について詳しく解説します。
さらに、内臓脂肪の影響を受けやすいライフステージやメタボリックシンドロームとの関連についても触れます。
内臓脂肪に関する情報を網羅的に提供し、健康管理に役立つ具体的なアドバイスをお届けします。
目次
内臓脂肪の基礎知識
同じ脂肪でも種類があり、特に内臓脂肪は健康リスクが大きい脂肪になります。
そのため、基礎知識を深めることは健康を維持する上で非常に重要です。
まずは内臓脂肪がどのようなものか、皮下脂肪との違い、そして内臓脂肪がつきやすい人の特徴といった基礎知識について詳しく解説します。
内臓脂肪とは?
内臓脂肪とは、お腹まわりを中心に、筋肉の奥にある胃や腸、肝臓など臓器の隙間に蓄えられる脂肪です。
内臓脂肪は身体のエネルギーが不足した際に素早くエネルギーに変わることから、「普通預金型の脂肪」と表現されることもあります。
このため、必ずしも身体に悪い脂肪ではありませんが、過剰に蓄積されると生活習慣病やその他の病気のリスクを高める危険性があります。
内臓脂肪と皮下脂肪の違い
脂肪には内臓脂肪のほか、皮下脂肪もあります。
これらをまとめて「体脂肪」と表現することもありますが、脂肪としてのそれぞれの役割や特徴は異なります。
内臓脂肪 | 皮下脂肪 | |
---|---|---|
脂肪がつく位置 | 筋肉の奥の臓器まわり | 皮膚のすぐ下 |
健康リスク | 生活習慣病など全身に影響する | 主に美容上の問題(セルライトなど) |
脂肪の役割 | 身体のエネルギー源になる | 体温保持や外部からの衝撃保護 |
減りやすさ | つきやすく・落ちやすい | つきやすく・落ちにくい |
特徴 | ぽっこりと張ったお腹 | 下半身につきやすく、つまむことができる |
性差・年齢 | 男性や中高年に多くみられる | 女性に多くみられる |
内臓脂肪と違い、皮下脂肪は皮膚の下に蓄えられる脂肪です。
おしりや太ももなど下半身を中心につきやすく、一度つくと落ちにくいため「定期預金型の脂肪」と表現されることもあります。
また、健康面への影響は少ないとされていますが、過剰に蓄積されてしまうと睡眠時無呼吸症候群や関節痛、月経異常などのトラブルが起きることもあります。
内臓脂肪がつきやすい人の特徴
内臓脂肪がつきやすい人の特徴は、典型的な中年太りをイメージするとわかりやすいかもしれません。
- 内臓脂肪がつきやすい人の特徴
-
年齢:40代以降(中高年)
性別:男性
体型:リンゴ型(ぽっこりお腹)
食生活:よく食べ、よく飲み、運動不足
筋肉量が減り、基礎代謝が落ちてくる中高年男性は内臓脂肪がつきやすいです。
また、閉経後の女性もホルモンの影響で内臓脂肪がつきやすくなります。
内臓脂肪が増える原因
内臓脂肪が増えるのは、食べ過ぎがもっともの原因です。
摂取したカロリーに対して、身体の消費が追いつかなくなってしまい、余ったものが内臓脂肪となっていきます。
また、食べ過ぎだけでなく、以下の要因によっても内蔵脂肪が蓄えられやすくなります。
・老化による体質の変化
・運動不足
・遺伝
・ストレス
・喫煙
・睡眠不足
・閉経
こうした環境や体質なども複雑に絡み合うことで、内臓脂肪は蓄積されやすくなってしまいます。
内臓脂肪による健康リスク
内臓脂肪が増えてしまうと、身体の機能を調整する物質であるサイトカイン(生理活性物質)の乱れが起こります。
これにより、代謝に異常が起こってしまい、血糖値や血圧、血中の脂質などの数値が上昇してしまい健康を脅かすようになります。
- 内臓脂肪による健康リスク
-
・糖尿病
・高血圧症
・脂質異常症
・高尿酸血症、痛風
・狭心症、心筋梗塞
・非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝)
・脳梗塞
・月経異常、不妊
・腎臓病
生活習慣病はよく知られるリスクですが、それらが進行すれば「動脈硬化」を引き起こし心臓や血管の病気にも発展していきます。
内臓脂肪による健康リスクの基準
男女ともに、内臓脂肪量が100cm²以上蓄積されていると病気のリスクが高まると考えられています。
この内臓脂肪量が100cm²以上をウエスト(おへそ周り)に直すと、以下のようになります。
- ウエスト基準
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男性:85cm以上
女性:90cm以上
上記のウエストを超えていると、内臓脂肪型肥満の可能性が高いです。
ただし、「隠れ肥満」といって見た目は痩せて見えるものの、内臓脂肪が蓄積されていることもあります。
お腹が出ているかどうかだけで判断はせず、体組成計を利用したり、医療機関で診てもらうことをおすすめします。
なお、ウエストに加え、検査数値が2つ以上が基準値から外れてしまうと、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)と診断されます。
いわゆるメタボは心血管病の予備軍とされ、少しずつ健康が蝕まれていき、気づいた時には命にかかわったり、日常生活への支障を避けられないこともある危険な状態です。
メタボリックシンドローム(メタボ)について知ろう|診断基準・原因・改善方法
内臓脂肪の測定方法
内臓脂肪は目に見えない脂肪のため、ご自身の主観だけで判断することはできません。
ここでは、内臓脂肪を測定する主な方法についてご紹介します。
健康診断での測定
健康診断では、ウエスト周囲径や血液検査を行うのが一般的です。
ウエスト周囲径:内臓脂肪の蓄積リスク
血液検査:内臓脂肪による代謝異常の確認
これらの結果をもとに、総合的に評価することで内臓脂肪のリスクを診断します。
CTスキャンやMRIによる測定
CTスキャンやMRIは、内臓脂肪の量を詳細に測定するための最も正確な方法です。
これらの画像診断技術を用いることで腹部の断面画像が確認でき、内臓脂肪の正確な量を計測できます。
定期的な健康診断に含めることで、内臓脂肪のリスクをより正確に評価することが可能です。
自宅でできる内臓脂肪セルフチェック
自宅で内臓脂肪をセルフチェックする方法はシンプルで、メジャーを使って以下の手順でウエストを測ります。
- 内臓脂肪セルフチェック
-
①準備
メジャーを用意します。鏡の前に立ち、リラックスした状態で測定します。
②位置
おへその高さでメジャーを巻きます。メジャーは床と平行になるようにします。
③姿勢
自然な呼吸を維持し、メジャーが肌にぴったりと沿うようにしますが、締め付けすぎないように注意します。
④測定
息を吐いた状態でメジャーを読み取り、数値を記録します。
またこの他に、体組成計によって測定する方法もあるので、定期的に内臓脂肪レベルを把握するようにしてみてください。
なお、これらの方法は内臓脂肪の蓄積の傾向を把握するものであり、正確な診断を提供するものではありません。
あくまでも医療機関に相談するきっかけとし、正確な評価や健康リスクの診断については医療機関にご相談ください。
内臓脂肪を減らす方法
体脂肪の中でも健康リスクの高い内臓脂肪は、つきやすく・落ちにくいという特徴を持っています。
放置すれば生活習慣病や心臓・血管の病気のリスクは高まりますが、エネルギー源として消費されやすい脂肪でもあります。
適切な方法を取り入れることで、効果的に内臓脂肪を減らし、ぽっこりお腹を解消することが可能です。
自己管理または医師のサポートを利用する方法があるので、それぞれの具体的な方法についてご紹介していきます。
生活習慣の見直し
生活習慣の見直しは、内臓脂肪を減らすための基本です。
さまざまなダイエット方法がありますが、まずは土台となる「食事」と「運動」を取り入れるところからスタートしていきましょう。
■食事
栄養バランスを意識し、青果物や全粒粉物、低脂肪なタンパク質などを積極的に摂るようにしましょう。また食事を抜いたりすると、体は次の食事でエネルギーを必要以上に吸収しようとするため、食事抜きダイエットは控えてください。
■運動
運動は週150分以上、汗ばむ程度の強度で行う有酸素運動(ウォーキングやジョグなど)や、筋トレを行うことが推奨されています。はじめは無理のない範囲からはじめ、慣れてきたら少しずつ強度を上げていきましょう。これにより脂肪が燃焼されやすくなり、内臓脂肪がエネルギーとして消費されやすくなります。
内臓脂肪を減らすためには、どちらも継続的な取り組みが必要です。
健康的なライフスタイルの維持が、ダイエット後の体型管理にも役立ちます。
メディカルダイエット
メディカルダイエットは、ダイエット薬を用いた全身痩せや、医療痩身マシンによって部分痩せを目指す痩身治療です。
■ダイエット薬
食欲を抑えたり、脂質や糖質の吸収をブロックする薬を用い、太る原因にアプローチする方法です。摂取カロリーをセーブできるので、続けているだけで減量効果が期待できます。
■医療痩身マシン
医療痩身マシンは、脂肪冷却や熱エネルギーを用いて、気になる部分の脂肪を分解・破壊し体外へ排出する治療方法です。メスを使わないので体に傷が残る心配がなく、お腹や二の腕、下半身などピンポイントで脂肪減少効果が期待できます。
健康状態やライフスタイルなどから医師が最適な治療を提案し、ニーズに合ったダイエットプランを立てることが可能です。
メディカルダイエットは、自己管理が難しい場合や短期集中で効果を求める人にとって強力なサポートとなります。
内臓脂肪を減らすためには、適切な生活習慣の見直しと専門的な医療サポートの両方を組み合わせて取り組むことが効果的です。
医師と相談しながら、健康的な体重管理を目指しましょう。
メディカルダイエットとは?一般的なダイエットとの違いやメリット・デメリットをご紹介
内臓脂肪についてのまとめ
ポイント | 説明 |
---|---|
内臓脂肪の定義 | 内臓周りに蓄積する脂肪 |
健康リスク | 生活習慣病や心血管疾患のリスクが高い |
測定方法 | 健康診断、CTスキャン、MRI、セルフチェック |
増える原因 | 食べ過ぎ、運動不足、老化、遺伝、ストレス、喫煙、睡眠不足、閉経 |
健康リスクの基準 | 男性85cm以上、女性90cm以上 |
生活習慣の見直し | バランスの取れた食事と定期的な運動 |
メディカルダイエット | ダイエット薬、医療痩身マシン |
内臓脂肪を効果的に管理するためには、これらのポイントを理解し、日常生活に取り入れることが大切です。
健康的なライフスタイルを維持することで、内臓脂肪を減らし、生活習慣病のリスクを低減させることができます。
自己管理が難しい人は、医師のサポートの利用も検討しつつ、ご自身に合った最適なアプローチを見つけてください。
内臓脂肪に関するよくある質問
内臓脂肪とは何ですか?
内臓脂肪とは、内臓周りに蓄積する脂肪のことで、特にお腹まわりの臓器周囲に存在します。
皮下脂肪とは異なり、内臓脂肪は生活習慣病や心血管疾患のリスクを高めるため注意が必要です。
内臓脂肪を減らすためにはどのような食事が良いですか?
内臓脂肪を減らすためには、バランスの取れた食事が重要です。
野菜や果物、全粒穀物、低脂肪タンパク質を積極的に取り入れ、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、精製された砂糖を避けることが推奨されます。
内臓脂肪を減らすための運動は何が効果的ですか?
有酸素運動(例:ウォーキング、ジョギング、サイクリング)と筋力トレーニングの組み合わせが効果的です。
週に少なくとも150分の中強度の有酸素運動と、週に2回以上の筋力トレーニングを目指しましょう。
内臓脂肪の測定方法は何がありますか?
内臓脂肪の測定方法には、健康診断で行われるウエスト周囲径の測定、CTスキャンやMRIによる画像診断、またセルフチェック(ウエスト周囲径の測定)などがあります。
内臓脂肪を減らすために医師のサポートは必要ですか?
自己管理が難しい場合や、健康リスクが高い場合には、医師のサポートを受けることが有効です。
医師は、ダイエット薬や医療痩身マシンの利用、適切な運動や食事の指導など、個々の状況に合わせた最適なアプローチを提供してくれます。